４７．がんばらない ページ10
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お風呂上がり。
なんとなく今日は独りになりたくてぼーっとしてたら時間が経つのが早いのかのぼせかける。
お風呂から出て髪の毛から滴り落ちる水滴をちゃんと拭ってその場から退出するとばったり。偶然にも程がある。
私の目の前にはお風呂から上がったのであろう、少しだけ頬が紅潮してる白布がいた。
「……。
白布も今さっき？」
「そう。……白鷺、ちょっとこっち」
言われるがままに近寄ると唐突に手を引かれて、声を出すなと軽くジェスチャーで伝えられる。
そのまま押し黙っていると聞こえてきたのは宮達の声。
……あぁ、だから。
「悪い。白鷺、なんか知らねぇけどやけに絡まれてたから」
「……ありがと、まま」
そっと無言になる時間も心地は悪くない。
あえてアレに触れてない気遣いは余計だけど。
「聞きたいこと、ないの」
「は？」
「兄さんのこと、知ってからずぅっと変。
気遣われてるみたいでなんか…やだ」
率直な感想。
私、自分で言うのもアレだけど大分めんどくさい方だし。だからこういう時こそ腫れ物を扱うみたいなのはいや。
「……。
なんで喧嘩したんだよ」
「ん〜、遡るのも大分めんどくさいんだけどね」
あれ、いつだっけ。
もうすぐで10年近く前になるはず。
＿＿＿＿＿
ちょうど今日の話。
幼くて未熟で、弱くて1日の1/3もお外を歩けない。酷い日は起き上がれなくて。
世でいう可哀想な妹が。このまま一生を終えるのかなって怖くなっていちばん近くにいた人に必死に手を伸ばして、どこにも行かないでねって頼んだのに。
「小学生の後半辺りまで学校にすら行けなくて、同年代の子にも兄さんにも置いてけぼりにされたみたいで……約束破られて多分、すごく嫌だった」
「…………」
白布は黙ったまま。
右手の人差し指に髪を巻きつけながら、言葉を紡ぐ。
「この髪も兄さんと同じ髪質が嫌だって言ってストレートにして、極力関わらないように見ないように、話さないようにしてたんだけどね、……お節介な誰かはそれを許してくれなくて」
「誰かって、」
「おじいちゃん。母方の方のね。
孫に対して過保護だから余計に。兄さんが反抗期に入った時も私がずっと寝込んでた時も、約束を破られて疎遠になった時もずぅっと縁を繋いでくれてた」
何度も泣いて怒って、バカみたいだなって思ってもう嫌だったのにそれでも本気で嫌いになれないのはおじいちゃんのせい。
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黒猫。(プロフ) - 白鷺ちゃんのキャラめっちゃ好きです！お話もとても面白かったです！更新頑張ってください！応援してます！ (2022年2月11日 19時) (
レス) @page13 id: abf8c53ec1 (このIDを非表示/違反報告)
元薺(サイ)だった者(プロフ) - 初めまして！繰り返し読ませてもらってます！！あの、気の所為だった申し訳ないんですが白鷺兄妹の過去というか因縁ってあんスタの朔間兄弟をイメージされましたか？とても好きな設定で何回もこの小説読んじゃいます！これからも無理せず頑張って下さい！ (2021年10月24日 21時) (レス) @page11 id: 5a1541447c (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 1話1話の内容が読み応え(濃くて)があって、読んでいると時間を忘れる作品でした！更新頑張ってください（ｹﾗｯ､､､一気読みしちゃった笑 (2021年9月1日 21時) (レス) id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろい
| 作成日時：2020年6月29日 21時
