会長さん。 ページ10
『フィルム』
「蒼井、今日はどこって？」
「……またですか」
「どこ？」
「はぁ、…A組の教室ですよ」
蒼井に聞いているのは最近気になるあの子の居場所。蒼井によると写真部に入っていて夕焼けを撮るのが好きらしい。
あの子と同じクラスである蒼井にある程度の行動範囲を教えてもらう代わりにいつもより生徒会としての労働を軽くしてあげている。
いわゆる、WinｰWinの関係。
「まだ残ってる人がいたんだ」
1年A組の教室に行って、今見つけたとでも言いたげな声色で窓の外を見るAさんに声をかけた。
「か、会長さん！？」
慌てふためくその姿は愛らしい。
クスリと笑ってまた口を開く。
「未神、Aさんだよね。写真部の」
「え、あ、…知ってたんですか？」
「もちろん、蒼井からよく話を聞くからね」
そう言うとほのかに頬を赤く染めて茜くん、と蒼井の名前を呟くAさん。
「…まあ、それもあるんだけど。
コンクールの写真がすごく綺麗で印象に残ってた、っていうのがどちらかと言うと本音かな」
飾りの無い言葉で伝えるのにはあまりにも難しい。
でも本当に綺麗だった、Aさんが見ている世界を共有できたみたいで、つい見惚れてしまった。
「あ、ありがとうございます…！」
「蒼井から聞いたんだけど、Aさんは夕焼けが好きなんだね。どうして？」
そう問いかけると一瞬、表情が固まる。
……これは聞いちゃいけないことだったかな。蒼井はそんなの一言も言ってなかったはずだけど。
「幼い頃に会った、男の子の目が夕焼けみたいな色だったんです。それが、すごく綺麗で」
自分の事のように嬉しそうな表情でカメラを持って笑うAさん。
その背景には綺麗な夕焼けが広がっていた。
それにしても、…夕焼けみたいな目の色ね。確かあの七番も認めたくはないけどそんな色だったっけ。
……すごく、気に入らない。
「Aさん、そのカメラって僕でも簡単に使える？」
「使えると思います、けど…どうかしましたか？」
「この風景を写真で残したいと思って。すごく綺麗だよ」
夕焼けを背景に笑う君が。
そんな王子様のみたいなセリフを呑み込んで曖昧に笑った。
「ここ押して、…そしたらすぐ写真出てくるので！」
使い方を教えてもらい、撮ろうとすると不意にAさんが姿を消した。
「……僕は君も撮りたいんだけどなぁ」
駄々を捏ねて撮らせてもらった1枚。
大切に、大切にしなくちゃね。
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ろい(プロフ) - さくらさん» ありがたい言葉です！すっごく嬉しいです、これからも更新頑張ります！！ (2020年3月10日 23時) (
レス) id: 9883bc7676 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 長々と書いてしまいそうなのでまとめて、文章が凄い好きです！更新頑張ってください！ (2020年2月29日 23時) (レス) id: f3613561c3 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - みわさん» 司くんを書くといつもこうなっちゃいます……、、完全に私好みです、すいません (2020年2月17日 1時) (レス) id: 9883bc7676 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 月ヶ瀬@猫さん» コメントありがとうございます！頑張りますー！ (2020年2月17日 1時) (レス) id: 9883bc7676 (このIDを非表示/違反報告)
みわ - 司くんえちえちですね、、すきです (2020年2月16日 22時) (レス) id: 5664b5d869 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろい
| 作成日時：2020年2月15日 20時
