検索窓
今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:57,495 hit

花子さん。 ページ9

『空白』




嫌々入った生徒会。男女ともに人気が高いあの生徒会長に言われた言葉。
「見えない『フリ』をすればいいよ、そうすれば分からないから」

その日から私は見えないフリをした。





_____



授業をサボるなんて生徒会役員としては言語道断。サボった時点で会長に殺られる。
それ程までに生徒会長は怖い。まあでも私より酷い扱いをされてる蒼井くんを見たら何も言えなくなったけど。


今の時間は数学。
1番後ろの席から、高校に入って初めての友達である寧々ちゃんに目を向ける。

そういえば、寧々ちゃん。旧校舎に行ってからどことなく様子がおかしい気がする。
具体的には言えないけど、少し前にも葵ちゃんも言ってたから間違いはないはず。

旧校舎、っていえば…………、




「トイレの花子さん、」

「あれ?呼んだ?」




耳元で聞こえたその声に絶句する。振り向いちゃダメ、振り向いたら……。




「もー、無視しないでヨー」

「っ〜〜〜!!」




声にならない叫びって多分こういうこと。

昔の制服である学ラン、頬には『封』と書かれた御札らしきものが貼ってある。
今よりも明らかレトロテイストな少年が私の目の前には立っていた。




「…………」



気づいていないフリをして顔を下に向ける。

なんでここにいるの?というか、元はと言えば私が声に出したのが悪いんだけど!
そんな思考回路を持っていると不意に会長に言われた言葉がよみがえってきた。
「学園七不思議には関わらないで、キミみたいな子は狙われやすいから」って、会長は言ってたんだっけ。




「あ、ここの問題、空白だー」




トイレの花子さん、基…花子さんはいつの間にか私の後ろに回って問題の空白を指摘する。

しょうがないじゃん、分からないんだからさ!!それに数学苦手だし!!




「ふぅん、分からないんだ」



馬鹿にするような声が聞こえ、思わず後ろを向いた。
……あ。やってしまった。




「やっと見てくれた。俺、ずっと待ってたんだけどナー」

「…そんなこと、言われても」




しょうがない、見えてしまうものは見えるんだもん。自己完結させて問題を解こうと手を進める。

そうするとすぐに、首に柔らかい感触が。




「俺以外には狙われないよーに、ってね。
それじゃまたね、ミカミ」




花子さんがそう言い終わると偶然なのか狙ったのか強い風が吹いて目を閉じる。

また目を開けると花子さんはいなくなっていた。

会長さん。→←▼



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (97 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
192人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ろい(プロフ) - さくらさん» ありがたい言葉です!すっごく嬉しいです、これからも更新頑張ります!! (2020年3月10日 23時) (レス) id: 9883bc7676 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 長々と書いてしまいそうなのでまとめて、文章が凄い好きです!更新頑張ってください! (2020年2月29日 23時) (レス) id: f3613561c3 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - みわさん» 司くんを書くといつもこうなっちゃいます……、、完全に私好みです、すいません (2020年2月17日 1時) (レス) id: 9883bc7676 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 月ヶ瀬@猫さん» コメントありがとうございます!頑張りますー! (2020年2月17日 1時) (レス) id: 9883bc7676 (このIDを非表示/違反報告)
みわ - 司くんえちえちですね、、すきです (2020年2月16日 22時) (レス) id: 5664b5d869 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ろい | 作成日時:2020年2月15日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。