融解。【地縛少年花子くん】 (ページ23)

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23回目ページ23

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それからは記憶がなくて。
ただなんとなく、寄り添ってくる暖かい何かに無意識に口角が緩々と緩んでたことだけなら覚えていた。

＿＿＿＿＿

「A～」

不意に名前を呼ばれて見てみると花子さん。
保健室から顔だけをひょっこりと出して手招きをしていた。

特に何も思うことなく近づいて見ると、手を掴まれてつい保健室の中に入ってしまう。
カチャリ、なんて嫌な音がした方向を見てみると私を引っ張ったついでなのかご丁寧に保健室の鍵までかけて。

「放課後まで待ってらんないや。……イイよね、別に」

「は、…どういう、」

「だってAはオベンキョウ、簡単なんでしょ？」

あの質疑応答には意味があったってこと？
頭の中で考えるもよく分からないからとりあえず、考えを放棄する。
目の前には余裕そうな笑みを浮かべた花子さん、後ろは壁。逃げ道もないし鍵を開けなくちゃ、保健室から出ることも出来ない。

キュッと固く口を結んで花子さんを警戒しつつ、なんとか気を逸らせるものを目で探す。

「ダーメ。今、逃げ出そうとしたデショ」

途端に目を塞がれ、視界が黒く染まる。
何も見えないんじゃどうしようも無い、しかもこのままだと授業に遅れる。

「…………あ、」

そう思っていた時にちょうど、授業開始のチャイムが音を立てて鳴った。

「あはっ、もう授業始まっちゃったネー。
………でもさ、これで思う存分俺の好きにできるじゃん」

掴まれている手に力を入れると、それすら読んでいたのか、はたまた偶然なのかどちらにせよタイミングがあまりにも良すぎて狙ってたんじゃないかなって思うくらい。

何か生暖かいものが耳の後ろを這った。

「っひ……！」

今は授業中なのに。
動けない身体とは反比例に声帯が震えて声だけが出る。

鼓膜にまで届きそうなほど深く舌を入れて水音を鳴らしてくる花子さんはきっと確信犯だ。

「声我慢しないで、俺にあのかわーい声聞かせてよ」

「っ、やだ…」

唇を痛いほどに噛み締めて我慢している私を見てまるで、からかうようにケラケラ笑った花子さん。

そして次の瞬間。

「ひうっ、あっ…はな、こさ、んっ」

なんで、だめ。

花子さんは唇は耳から離さずに、でも妥協はせず。もっと奥深くまで舌を届かせてくちゅり、なんて音を立てて舐めて甘噛みして空いている手で太ももを触り始めたのだ。