15回目 ページ15
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つかさくんがゆっくり口を離すと余計に強調された繋がっているその糸。
「カタカナ、オレねガマンするのやめた人の顔がスキ」
「っは、…どう、いうこと?」
「ンー、すぐ分かるヨー」
その時はまだつかさくんが言っていた言葉の意味も恍惚に浸っていたその表情も何も理解出来なくて首を傾けることしか出来なかった。
「カタカナ、薬指ってね心臓に通じた手指って言われてるんだよ。オレ、物知りデショ?」
ニコリと笑ったつかさくんのその笑顔は全然あんなことをするような子だとは今も思えなくてやっぱり人は見かけによらないな、なんて思う。
「だからカタカナの心臓、オレにちょーだい?」
身の毛がよだった。
さっきまで愛らしい笑顔だったつかさくんがまた、あの歪んだ笑顔を見せたんだから。
「心臓……」
「物理的に、じゃないケドさ。
オレ、前に言ったデショ?カタカナのこと欲しくなっちゃったって」
そう言えば言われていたような気がする。
小さく縦に頷いた。
「だからね、予約させて?
カタカナの心臓をオレにくれるって。それまではオレ、キモチイイコトしかシないよ」
「…よ、予約ってどうやって、」
寿命なんて分からない、どこで死ぬかも分からないのにどうしてそんなことが言えるんだろうなんて疑問を抱く。
つかさくんは涙袋あたりに右手の人差し指だけを当ててご機嫌そうに笑った。
「予約はね、こうスるのー」
おもむろに手を取り、薬指だけを口の中に入れたつかさくん。
ぺろりと一度舐めたあと、それを思い切り噛んだ。
「いッ、…!」
制止する声なんて届いてないのか噛むのを辞めないつかさくん。
完璧に歯形もついてるし何がしたいのかよく分からない中で、ひたすら痛みに耐えるしか無かった。
「エヘッ、ケッコンユビワみたいダネー」
私にも見えるように手を自分の顔の近くに持っていったつかさくん。
そしてまたペロリと舐めた。
左手の薬指にはやっぱり歯形が残っていてやけに目立つ。隠すのが大変だなあ、なんて思いながら手を引っ込めた。
「じゃあ、はじめよっかー」
そう言われると共に近くにあった机に押し倒された。
天井を背景に満足気に笑うつかさくんをただひたすらに見つめた。
「夜にスるのもイイけど朝にスるのもオレ、やってみたい」
ただの興味本位らしい。
でもこれ以上、つかさくんといると何されるか分からないから怖い。
必死に抵抗したその術もすぐ無意味になった。
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作者名:ろい | 作成日時:2020年1月21日 0時