13回目 ページ13
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「だァれだ〜?」
「……花子さん?」
早朝、日直だった私は早めに学校に来て仕事をこなしていた。
資料室に入って担任に頼まれていた資料を探していると後ろから目隠しされた。それは幼い頃に流行ったあの遊びを彷彿させた。
グッと重くなった身体に比例して重心が後ろに傾く。花子さんしかいないでしょ、とその名前を呟くとふぅっと左耳に息をふきかけられた。
「はァずれ、あーんなことシたのにオレのこと忘れちゃった?」
「ッ、あの、ときの…」
花子さんにそっくりのあの子だった。
気付いて逃げようとしてももう遅い。あの黒いふよふよの人魂が足首を陣取っている。
「あはっ、もう逃げられないね〜。
じゃあ早速オレとイイコト、シちゃおっか」
またこの笑顔だ。
花子さんと顔は瓜二つなのにどうしてこんなに違うんだろう。
歪んだ笑顔は相変わらずでどこか可愛さと狂気さを同時に感じた。
「オレね、つかさっていうんだよ。ほらー、呼んで?」
「……つ、かさくん」
「くん付け?…イイけどさー、オレが居ない時もちゃんと普の前で呼んでね。
そうじゃなきゃ、殺されても文句言えないからネ」
えへへっ、と可愛い笑い方をするものの言っていることは中々にサイコパスじみている。
足首を陣取られていなかったら速攻逃げているところなのに。
「…どうして、名前教えたの」
「ふふ〜、知りたいの?なら教えてあげる。
まずはカタカナのナカにオレのをいれてとろけるぐらいぐっちゃぐちゃにシて、キモチイイの我慢しながらオレの名前呼ぶのってすっごいコーフンするからダヨー」
一度私を優しく抱きしめてなでなでと背中を撫でてからまた背中だけをホールドされた状態で、つかさくんは口を開いた。
「だから、オレはカタカナが感じるトコロいっぱい知らなくちゃいけないんだよね。
……感じるトコロ、普だけじゃなくてオレにも教えて?」
今さっきまでの優しい力が嘘だったように背骨が折れるんじゃないかって力で強く抱きしめられる。
「っや、つかさくっ、痛い…」
「…………カタカナは痛いの、キライ?」
無言で縦に頷くと聞いたくせにふぅん、と興味なさげな返事が帰ってきた。
「なら、たくさんヤサシクしてあげる。
ドロドロに溶けちゃうくらいっ、…ね」
つかさくんに優しさを求めたのはある意味間違いだったのかもしれない。
怪しげな笑みを浮かべてそう言ったつかさくんを見て素直にそう思った。
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作者名:ろい | 作成日時:2020年1月21日 0時