灰色。【文スト】【暗殺教室】

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「…なんかさ悲しいし恐えよ。ヒトって皆、ああなのかな。相手が弱いと見たら俺もああいう事しちゃうのかな」




其れはきっと素直な疑問だった。傷付いた心の中、ふと出来た大切な問題。
今年で十九になる私だって分からない。きっと誰にも分からないのだ、でも其れでは遅い。

私達を包む暗い雰囲気を如何にか打開したくて殺せんせーを見た。すると殺せんせーは大きくて膨らんでいた。




「うわぁ！！」

「殺せんせー、ふくらんでるふくらんでる！！」




一気に変わった雰囲気を感じ取り、吹き出すかのように笑う。

之でこそE組らしいね、感傷的なのは似合わない。




「仕返しです」

「へ？」

「理不尽な屈辱を受けたのです。力無き者は泣き寝入りをするところですが君達には力がある。気付かれず証拠も残さず標的(ターゲット)を仕留める暗殺者(アサシン)の力が」




之は少し…否、かなり面白くなりそうだ。それに私の見ている範囲では好きにしていい、なんて。

報告書に記すものは忠実でないといけないからねぇ。




「屈辱には屈辱を。
彼女達をとびっきり恥ずかしい目に遭わせましょう」

「うふふ、賛成だよ」




太宰譲りの笑い方に笑顔を見せて私も賛成の意を見せたのであった。




＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿



後日。
作戦を練った私達は準備を始め、遂に其れを実行する所にまでに至った。作戦は分かり易いからね、きっと成功するよ。




「Aちゃん、もうちょっとで来るって」

「はぁい」




気付かれないように姿を隠して木上で地面を見る。




「お、来た来たドンピシャリ」

「あいつらプライド高いからな〜、そこらの民家でトイレ借りる発想はねーんだよ」

「じゃあ早く終わらせようか」




私の言葉を合図に枝を切り落とした。




「ふふっ、楽しいねぇ」

「A、案外黒いんだな…」

「心外だね、前原くん。
殺せんせーも云ってたと思うのだけれど。"屈辱には屈辱を"ってね、其の意味のまま同じことをしてあげただけだよ」




なんて云って仕舞えば正当化になって仕舞うかな。




「却説、私は用事があるから之で」




嘘だけどね、烏間先生に連絡を入れたからもう少しで此方に来るだろう。

その前に退散しておかないとね。




＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿



「そこに正座だ」

「えぇ〜っ、悪いことはしていないのだけれど」




(後日談)
結局、怒られたよ。実に残念無念。

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