【終わりのセラフ】天才少女と夜想曲 2ndstory

【具現化】と【憑依化】 ページ20

私は蛍丸を納めた。


『……中将、今、仲間が守ってくれなきゃ死んでましたね？』


少し上からの視線を感じるけど気にしない。


『あ…それとも攻撃する気はないと騙されたーって言うんですか？』


私は笑顔で訊ねる。


暮人｢ははは…負けん気が強いな。
前言を撤回しよう。確かに君はグレンの部下だ｣

『もう、終わりですか？』


なんだ、つまんないの。
もっと面白くなるのはここからなのに……。


暮人｢ああ、君のことは分かった。深夜｣

『…？』

深夜｢えーやだよ、僕。
暮人兄さんと違って可愛い子をいじめるの嫌いなんだけど｣

暮人｢黙れよ。弟は兄の言うことを聞くもんだ｣

深夜｢血ぃ繋がってないじゃない。
僕、柊家の養子だし｣

暮人｢いいからやれ。殺すぞ？｣


弟相手に脅すのは大人気ないっていうかなんて言うか……。


深夜｢うえー、めんどくさいなぁ｣

『試しますか？』

深夜｢ああー、まあそういう命令なんでね｣

深夜｢やろうかー｣


深夜さんがそう言って、鬼呪装備を出すと雰囲気が変わった。

っていうか、あれって……遠距離だ。
私、相性悪いんだけど。


深夜｢白虎丸撃って〜、ズドン｣

『！！』


深夜さんがそう言うと、攻撃が消えた。
私は蛍丸を手に持ち、集中する。


『……！！』


私の左横から出てきた虎？を斬る。
そして前に出て、深夜さんの鬼呪装備についている刃を防ぐ。


『反撃、いいですよね？』

深夜｢いつまで、もつのかな？｣


深夜さんはもっと攻撃を増やしてくる。
捌ききれない……。


『ちっ……』


前に出てきた虎を斬ると目の前には深夜さんが居て
そのまま押し倒された。


『え……』


深夜さんは馬乗りのまま、私の首に刃を向けた。


深夜｢はい、僕の勝ち｣

『うっ………』

深夜｢吸血鬼にだってこんなことされちゃうよ？
気をつけてね｣

『ご丁寧にありがとうございます』


私がそう言うと、深夜さんは私の上から退いてくれた。


深夜｢ちなみに僕の【白虎丸】は遠距離が得意な武器だから、近接じゃバケモノみたいに強い暮人やグレンにはまるで敵わない。
まぁ、君の鬼呪装備は多分、中距離ぐらいだしやりにくかっただろうね｣

『………』


悔しい……。


深夜｢まあでも君、鬼呪装備手に入れたばっかりでしょう？鬼の【具現化】も【憑依化】も教わってないみたいだから仕方ないよ。気を落とさないよーに｣


いや、負けたら気を落とすでしょ……。

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