756話 ページ6
✩
｢つ、月永さん！私は大丈夫ですから！｣
｢…え？あ、あぁ、そっか。ごめん｣
無我夢中で走る月永さんは、ようやく止まってくれた
｢ごめんな…ほんと、ごめん｣
｢な、なんで月永さんが謝るんですか？｣
｢おれが傷つけたんだよな…｣
｢…？｣
そんなにショックを受けたのかな…
Knightsの皆さんは今、必死に練習してる訳だけど
月永さんはそんな風に見えない
｢本当は勝つ気、ないんですか？｣
｢…｣
｢私見ました。月永さんが負けて、笑ってるところ｣
｢…は？｣
ペンダントがまだ何なのか分かってないけど
何故か確信を持てた
｢おまえ、未来人か何かなのか？｣
｢不思議なペンダントがあって…それを持ってた時に見えたんです。りっちゃん達の安心する顔｣
｢…そっか。良かった♪｣
な、なんで…？
どうして負けて、嬉しいの？
負けて喜ぶ人なんて、エッちゃんぐらいしか…
そこで私は思った
誰かを傷つけた自覚があるから、裁きを受けたいの？
｢そんなの許せません！｣
｢うおっ！？な、なんだ！？｣
｢ずるいです！｣
｢何がだ！？｣
私は裁きを受けたかったのに、止められた…
大勢の人が悲しむから、ファンやお母さんのことを思ってやめた
｢私だって、自分ほど許せない人はいないのに。ずるいです…月永さんだけ綺麗に裁かれるなんて｣
｢…そういう考え方もあるのか｣
｢悪いことをしたのに、そんな自分を認めてもらえる｣
｢んん？｣
｢これほど辛くて嬉しくて…どうしようもない気持ちになるものはありませんからね！｣
そう言い残して、私は教室へ走った
もう予鈴鳴ってるんだけど！！！
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作者名：赤月 音 | 作成日時：2021年2月28日 19時
