786話 ページ36
✩
｢さっきの人は…｣
｢自称ゴッドファーザーの継承者だとよ。あんな阿呆に務まる器じゃねェのになァ？｣
ゴッドファーザーの？
あぁ、事務的な意味を指してるのかな
乱凪砂さんはアイドルだもんね
｢ったく、あいつのせいであの店はじきに食い潰されるだろうな。常連だったのによう〜｣
｢えぇ！？な、なんで…｣
｢さっきも言ったろ。イカサマして大暴れしてんだよ｣
｢それを知ってて…｣
｢あァ。呑気に気づかねェあいつらが悪い…♪｣
知ってて助けないなんて…
はぁ、周りが怖い人ばっかで息が詰まりそう
｢あの様子だと、金目当てで今後もおまえに近づいてくるんじゃねェか？｣
｢そんな感じでしたね…うぅ、やだぁ｣
｢きゃはは！アイドルさまも大変だなァ…♪｣
あの人、財産目当てで私に近づこうとしてたけど
私そんなのひと言も聞いたことない…
お母さんに聞いてみようかな
｢でも確かに、誰がひいばあちゃんの財産を…｣
｢その財産がおまえになかったとしても、ヒツジちゃんの活躍にだって十分利用価値はあると思うけどな｣
｢…あっ、確かに！｣
｢きゃはは。そんなんでよく社会生きていけるよなァ｣
少しだけ、羨ましそうな顔をしてた
燐音さん…
｢燐音さん！｣
｢あァ？｣
｢私、いつか燐音さんを有名なアイドルにしてみせるって約束します！｣
私は帰らせるつもりなんてない
これは最初から決めてたこと
燐音さんは、君主よりずっとアイドルのほうが向いてる
だってかっこいいし！
｢…きゃはは！できるもんならやってみろよ♪｣
｢勝手にそうします！｣
｢ちょっとぐらいは期待してるぜェ…♪｣
｢わわっ！？｣
もう、髪の毛がぼさぼさになった…
…少しだけ、心から笑ってくれたような気がした
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作者名：赤月 音 | 作成日時：2021年2月28日 19時
