771話 ページ21
✩
マネージャーさんの車で帰ってる途中、りっちゃんに連絡した
家に行ってもいいかって
｢Aさんの家じゃないんですか？｣
｢…はい、お願いします｣
｢わ、分かりました…｣
行きは短く感じたけど、帰りは何時間も車に載ってるような感覚になった
｢…送ってくれて、ありがとうございました｣
｢いえ…しっかり休んでくださいね？｣
｢はい！お休みなさい｣
｢お休みなさい…｣
マネージャーさんは勘が鋭いから気づいてたんだろうな
それでも声をかけられないぐらい、私はおかしな顔をしてたのかも
私はインターフォンを鳴らした
｢あら、Aちゃん！｣
｢…うっ｣
りっちゃんママの元気な笑顔をみると、りっちゃんの面影を感じて我慢できなかった
｢ひっく…ううっ…わああああぁん！！｣
｢あらあら…話聞くから、お家上がりましょ？｣
｢ぐずっ…ん、うんっ…！｣
｢…A？｣
驚いた顔のりっちゃんが階段から降りてきた
知らないもん…
｢自分でも、分かんない…なんか、悲しくて…！｣
｢怖かったね｣
｢…！うん、怖かった…すっごく、怖かった…！！｣
さっきと全く同じ言葉のはずなのに、りっちゃんに言われた瞬間、涙も気持ちも全部が溢れてきた
私は最低だ…
でも、どうにもできない
凄く歯がゆくて、悔しい…！
｢よしよし、いい子いい子…♪｣
｢ひぐっ、ぐす…りっちゃん、本当にごめんね。りっちゃんのほうが辛い立場なのに…｣
｢それはAも同じでしょ。だから泣いてる｣
｢…後でいっぱい、話聞くから。今だけいい？｣
｢今だけじゃなくて、しばらくこのままで良いよ｣
結局、乱凪砂さんのことは言えなかった
何となく、言ったらダメな気がして
変わりにいつもより強く、ぎゅっと抱きついた
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作者名：赤月 音 | 作成日時：2021年2月28日 19時
