463話 ページ13
✩✩
さっきまであんなに震えていた人間とは思えないな
『〜♪〜♪』
「A殿はばっちりであるな…♪」
「ふん、アイドルなら当然だろう」
「少しぐらい褒めてやっても良いじゃねぇか」
「あいつはすぐ調子に乗るから駄目なんだ」
褒められたらそこで止まるのがAだってことぐらい、俺はもう知っている
しかし、自分の好きなことには誰よりも真っ直ぐで…
誰の声も耳に届かなくなることだって俺は知ってるんだぞ
『〜♪』
『〜♪〜♪』
もうじき曲が終わる
思っていたよりもずっと順調だったな
俺は歌いきると、あいつが言っていた発表を待った
何やらぶるぶる震えているようだが、もしかして怖くて声が出せないとか言わないだろうな?
そう思って俺が声を出そうとした時だった
『ん〜〜!楽しかったあぁ〜♪』
「なっ!?」
「「っ…!?」」
俺以外…鬼龍も神崎も様子を見る限り同じだろう
Aが声を発した瞬間、会場全体の空気が一瞬にして変わった
それを肌身に感じた俺は全身に鳥肌が立った
これは恐怖じゃない
幸福だ
幸福を感じて、俺は今鳥肌が立ったんだ
『私は柊Aと言います!__』
「お、おい旦那。今のって…」
「あぁ。この前話していた事だ」
「いやはや驚いた。我は今、つい全身に鳥肌が立ってしまった」
「俺もだ…こりゃたまげたな」
全身に幸福を浴びると、人はこんなにも面食らってしまう生き物なのか?
これはまるで…
「あの明星さんと同じ種類のアイドルだぞ…!」
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作者名:赤月 音 | 作成日時:2021年1月31日 6時