神さまの気まぐれ陸【あんスタ】 (ページ2)

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モルモットの実験ページ2

自分がこのお方を尊敬した日

それは自分がまだ、お嬢様のガードマンじゃなかった頃だ

＿＿＿＿

｢…｣

｢っ！？…おい、いつからそこにいた｣

｢…好き〜♪｣

｢なっ…｣

｢大好き！いい匂いする〜♪｣

人は本能で、自分の親が誰なのか分かるのだろうか

そう思わせるほどにあまりにも呆気なく、そして想像していたよりも遥かに優しい温もりを初対面でその親子は共有していた

｢…質問に答えろ。二つだ｣

｢私は神さま…あ、ゴッドファーザーだっけ？その人と記憶は共有してないけど、感情を共有してるんだ〜♪｣

｢(こ、この子…ボスが質問をする前に…！)｣

｢それとね、ここにはその神さまが教えてくれたの！振り切られちゃったけど、すっごくあなたにビリビリっときたからね〜♪｣

その時、ボスはどんな表情をしていたんだろうか

お嬢様はずっとボスの顔を見つめていた

笑っていたのか

それとも、泣いていたのか

ボスの後ろにいた俺には分からない

｢(きっと、一生その顔を俺が見ることもないだろう)｣

そんな風に、感動の親子の再会を果たしてしまった直後だ

その場にもう一人いたんだ

｢もう一人は始末しろ｣

｢え？誰かいたの？｣

｢…っ！？｣

｢待って！｣

最初はただの情けだと思っていた

しかし、ボスのたった一人の子供だ

ボスは今ではもう子供を作ることすら出来ない状態だから、本当にこの世でただ一人だけのボスの子供

｢(この子供に可哀想と言われたら、ボスは止めるのか？)｣

｢その人、生かしておきたいな〜｣

｢おい。何の真似だ｣

｢(そ、そこはもちろんボスでも怒るのか…)｣

｢一度死を感じた人間が、この後どう生きるのか知りたい｣

自分はその目を見て、絶対に誰にも言えないが

思わずあそこが緩んでしまった

｢観察したいな。この後、この人がどう動くのか｣

モルモットの実験だ

大の大人が漏らしてしまうほどに、その目は強烈で

人の心がなかった