3657話 ページ7
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動けない
起きてるのに、目は開くのに身体が動かない
｢なんでこんなチビに、俺たちは振り回されているんだろうなあ｣
｢それが彼女の才能なんですよ♪｣
｢俺は嫌いだなあ。大した力もない癖に、周りの権力だけで自分さえも強くなったように錯覚する馬鹿な主人公は｣
｢本当に、それは錯覚なのですか？｣
嫌だ…やだ…
知りたくなかった
こんなの、聞きたくない…
｢信じたくないだけでは？じゃないと、たった一人で世界破滅に至るのは不可能でしょう｣
｢この子は、とことん人を不幸にするのが得意らしい。親も、友達も、彼氏も、幼馴染みもみんな…｣
何なの？どういうこと？
｢この子のせいで不幸になった｣
｢…っ｣
｢俺は憎くて仕方ない｣
嘘だ…
そんなの、どうせ嘘に決まってる
｢目の前にいるのに、どう抗ってもこの人を救えないもどかしさに｣
｢彼女は素晴らしいですねぇ。自分で放った言霊のおかげで、自分を死なせずに守り続けているんですから｣
｢(え、言霊？もしかして…)｣
｢運命は変えられない、ですか。皮肉なものですよねぇ｣
あれが、私を守ってた…？
それはただのひいばあちゃんの受け売りで、私も何となくそう思ってるだけであって…
それが、私を守ってたの？
｢自分が今から無惨な殺され方をするという現実を、私たちがどれだけ変えようと試みても…彼女がそれを拒むんですから｣
｢(っ、え…？)｣
｢俺は君に聞きたい｣
三毛縞さんが、私の頭を撫でた
｢どうして、君は分かっていてもその事実を変えようとしないんだあ？俺はもう、あれ以上傷つく君を見たくないのになあ｣
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作者名：赤月 音 | 作成日時：2022年11月8日 19時
