レポート18・居眠り王子 ページ18
衣更side
「お〜い、凛月〜?寝るなよ…」
「すぅ…すぅ…」
もう始まってるのに…
まぁ、俺たちのすぐ後ろにいるあの子たちも眠そうだけど
今ここで寝ると、後ろの子たちが怖いんだよ
「コンサート中に寝てる…なんてアイドル!」
「いや私たちも人のこと言えないでしょ…」
「でも…」
「「寝顔がイケメンすぎる…♪」」
そ、それでいいのか!?
今の女の子の基準は分からん…
「王子だ…」
「王子だね…!」
「居眠り王子だ…」
何だそれ…
「…!」
突然、空気が変わった
素人の俺でも分かる
このピリついた雰囲気のなか、一人の女の子が舞台袖から凛々しく姿を現した
「…」
「(あっ、凛月が起きた…)」
その子の歌声は、まさに女神だった
華奢な見た目からは想像もできないほど、しっかり芯の通った透き通る歌声
迫力のある力強い声と、素人目でも分かる歌声の安定感
「(す、すげぇ…)」
上品な立ち振る舞いに、美しいドレス
動く度に胸元で輝くシルバーのネックレス
Aちゃんの一挙一動に、俺は目が離せなかった
「凄かったな!いや〜、感動した♪」
「ふぁ、あふ…ねぇま〜くん」
「ん?」
「どうして、急にオペラなんか観ようと思ったの?」
「えっ!?そ、それは…」
た、確かに変だよな
あの子たちのお願いで、凛月のことも連れてきちゃったし
「興味があったっていうか…俺の知り合いに、すっげぇ上手い人が出るから見るべきだって言われてさ」
「…ふ〜ん」
「そ、そういう感じです…」
ばれてない…よな?
「帰ろっか、ま〜くん♪」
「あ、ああ…そうだな」
「みんな凄く上手だったね〜♪」
「…そう、だな」
どうして、Aちゃんのことを俺に話してくれないんだ?
俺はあの時、ちゃんと見たのに
確かに睡魔に負けて眠そうな顔をしてたけど…
「(それ以上に、おまえも感動してたはずだろ?)」
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りっちゃん
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作者名:赤月 音 | 作成日時:2022年3月8日 8時