374.この感覚は ページ15
＜セフン＞
あれから洗い物を終えたAは、お風呂場に向かった。
Aがいなくなり、俺はリビングのソファに寝っ転がってぼーっとしていた。
「女の子として、ねぇ〜…」
Aがシャワーをしている音がかすかに聞こえる。
女の子として…つまり、恋愛対象、もっと言うと、性的対象として、と言いたいんだろう。
思い出すのは、昨日。
Aのえっちな夢を見て、興奮したという事実。
…あれ、夢じゃなかったのかな。
俺、ほんとにAで…。
途端に、シャワーの音が気になる。
少し歩いてドアを開ければ、そこには裸のAが…
ゾワッ
「…」
うーーーーーん。
なんだ、この感覚。
嬉しい時？…違う。
恥ずかしい時？…違う。
寂しい時？…違う。
でも、どれもどこか似ている感覚。
『セフンさんが恋愛できるかもしれないって話ですよ！！』
これが、性的興奮？
…いいんだけどな、別に、俺は。
関係性がどうとか、恋人とか上司と部下とか、関係無く、ただ一緒にいたいだけなんだけど。
それでも、もしAの望む恋愛ができるのなら…してみたい。
…ていうか恋愛って何。未だに分かんない。
.
.
.
Aがお風呂から上がり、自分もシャワーを浴び終えてリビングに向かうと、そこにはうとうとしているAがいた。
「A」
「んっ…あぁ、セフンさん」
名前を呼ぶと、俺の方を見る。
「眠いね。もう寝よう」
「ん…ちょっとお話ししたくて…」
「明日じゃダメ？」
「いいけど、寝てる暇があったらお話ししたい…」
何それ。可愛いじゃん。
「じゃあベッドで横になりながら聞くよ。いつでも寝落ちしていいように」
「はい…」
眠そうなAの手を引いて、寝室に向かう。
先にAがベッドに入って、俺が後から入る。
久しぶりだ。隣にぬくもりを感じるのは…
『一応言っとくけどな、そもそも付き合ってもないただの男女が一緒に住むだけでもおかしいのに、さらに一緒に寝て風呂にも入るって…普通じゃないからな』
ジュンミョニヒョンが、前そう言ってた。
一緒に寝るのは…おかしい。
恋人じゃ、ないなら。
「せふんさん、私がいない間…ごはん、どうしてたんですか…？」
「ん？別に、お腹空かなかったら食べないし、空いたらカップ麺とか」
「だから、痩せたんですね…」
Aが、前よりこけた俺の頬を手でなぞる。
その見上げる目に、なぞる指に、ドキリと、胸が高鳴った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 58人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：LUKE | 作成日時：2022年12月15日 3時
