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「あれ、ここって…」
気がつくと見たことあるような場所にいた。キョロキョロと辺りを見回していると、聞き間違えるはずのない大好きな人の声が聞こえた。
「……もしかして…江面さん?」
「あ、わ、渡辺さん…?!」
「え、すご!2回も同じ夢見れるとか滅多にないのに!」
「私もびっくりしました…」
え、え、嘘でしょ?同じ夢を見られただけでもすごいけど、待って、あの日会えるのが最後だと思ったからあんなこっ恥ずかしいこと言ったのにまた会えるとか聞いてないんだけど?!2度も会えて嬉しいけど恥ずかしすぎる!どうかどうか、あのこっ恥ずかしいセリフを忘れていますように。
「なんか、あんな別れ方したのにまたこうして会っちゃうと恥ずかしいね」
「アーーーやめてください今すぐ忘れてください恥ずかしすぎてしにます」
「なんでよ!(笑) 俺あの時の言葉めちゃくちゃ嬉しかったんだよ」
「いやいやいやあれはもう会わないと思ったからこそ言ったのであってまたこうして会えるなんて聞いてませんよ…」
「まぁ確かに俺もこの展開は予想してなかったけどね」
「ですよね!!」
あぁ…忘れてなかった…いや、冷静に考えてあの天下の東大を卒業してQuizKnockで活躍しているようなすごい方が数日前の記憶を忘れるわけなかったんだけども。でも。夢だから忘れたっていう一縷の望みにかけたかったよ。無理だったけど。
「ところで、江面さんなんかこの前より痩せた?」
「え?」
「あーいや、なんか疲れたような顔してるし、あんまり顔色も良くないような気がして。夢だからそう見えるだけかもしれないけど…」
「あー…まぁ、色々と、ありま、して…」
「えっ、ちょ、ごめん!なんか触れたらまずかった?」
「ちが、…すみませ、気にしな、で…ください……」
渡辺さんに聞かれて、ここ数日の出来事を思い出してしまった。泣くつもりはなかったし、むしろ推しに泣き顔を見られるという失態を犯すつもりはなかったのに、私の目を見て本当に心配したように気にかけてくれた渡辺さんの優しさに、社会人になって日々弱くなっている私の涙腺が我慢できるわけもなく。結果として子どものようにボロ泣きをしてしまった。
「目の前で泣いてる人を放っておけるわけないでしょ。……あー…嫌だったらごめん、突き飛ばして」
「っ…」
そんな私を戸惑いながらも優しく抱きしめて、ゆっくりと背中を擦ってくれたことで、余計に涙が止まらなくなったのは言うまでもない。
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むーん(プロフ) - リコさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!更新止まってしまっていますが、気長に待っていただけたらと思います。 (9月14日 22時) (レス) id: f9492b4722 (このIDを非表示/違反報告)
リコ(プロフ) - とっても面白いです!!更新楽しみに待ってます(*´︶`) (9月13日 3時) (レス) @page21 id: 8da0708740 (このIDを非表示/違反報告)
むーん(プロフ) - ここあさん» コメントありがとうございます!嬉しすぎます…ただただ妄想を詰め込んでいるだけですがこれからも楽しんでもらえたらと思います! (2023年5月1日 20時) (レス) id: f9492b4722 (このIDを非表示/違反報告)
ここあ(プロフ) - なんですかこの作品?!神すぎるんですけど?!更新待ってます! (2023年5月1日 17時) (レス) @page15 id: 8e3636a12d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むーん x他1人 | 作成日時:2023年4月11日 19時