第九話 整った顔立ちの少年 ページ10
朔夜はあっという間に女の子たちに囲まれ、腕を掴まれてしまった。
「こっちこっち！」
「わっ。ね、ねぇ、オレ、一人で大丈夫なんだけどっ」
「遠慮しないで！」
無理矢理朔夜を引っ張ることで、女の子は案内しているつもりになって、喜んでいるようだった。
満面の笑みでずんずん進んでいく女の子に、朔夜の声が届くはずもなく。
残りの子たちには背中を押され、体を反らしながらも前に進むしかなくなってしまった。
大勢の女の子たちに囲まれて、観衆の大注目を浴びながら、学校へと連行される。
「あーっ、もう、話聞いてよー！」
人探しを楽しみにしていたのに、少しだけ人間嫌いの感情が戻ってきてしまった。
* * *
「ん……あれ、うちのクラスの女子だ」
音羽穂乃果は眠そうな目をこすりながら、大人数で学校の中に入っていく女子の群れを眺めていた。
「なにやってんだろ。朝から元気だな、あの子たち」
羨ましそうに彼女たちを見ていたら、ふと女の子たちの中に、知らない男の子が埋もれているのに気が付いた。
一番初めに穂乃果の視線がとらえたのは、風になびくきれいな銀髪だった。
周りの生徒たちも彼の存在に気が付いた様で、誰だろうあの子、とざわざわ騒ぎ始める。
「あれが、昨日大騒ぎしてた転校生なのか。なんていうか……かっこいい」
第一印象は、それだった。
男だというのになぜか愛嬌のわく大きな目といい、高く形のいい鼻といい、誰がどう見ても美少年としか言いようのないほど、整った顔立ちの少年。
「……まぁ」
穂乃果はあくび混じりにつぶやき、自分のクラスの下駄箱へ向かった。
「興味、ないけど」
金のような色素の薄い長い髪をふわりとゆらして、穂乃果は自分のローファーを脱ぐ。
どこを見ても、友達同士で仲良くおしゃべりしながら歩く生徒たちばかり。
穂乃果のように、一人で寂しく登校してくるような人など、誰一人といなかった。
……私とは次元が違う子たちなんだから、当たり前か。
寂しく思いながら、同時に諦めの感情も抱いている。
複雑な気持ちに、重いため息が漏れた。
廊下に出ると、また女の子たちの集団を見ることができた。そう遠くまでは行ってなかったようだ。
あの転校生、ホント、目立つな。……関わりたくないなあ。
朔夜と前に一度会ったことがあるだなんて微塵も思わずに、穂乃果は一人でそそくさと逃げるように階段を駆け上がった。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーカラー
あずきいろ
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 25人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
凍夢(プロフ) - おもしろいです！続きがきになるので続きをお願いします (2018年7月17日 0時) (
レス) id: 00e413b96f (このIDを非表示/違反報告)
アナナス - 面白いです、続き待ってます。 (2017年7月4日 16時) (レス) id: c0c87a14c1 (このIDを非表示/違反報告)
闇風ヤク@アニオタ重症(プロフ) - 面白いw更新楽しみにしてる！！☆*:.｡. o(≧▽≦)o .｡.:*☆ (2014年8月10日 14時) (レス) id: a55c4f8740 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - なかなかです。続きが気になります頑張って下さい。 (2014年6月22日 18時) (レス) id: baa4070149 (このIDを非表示/違反報告)
ルーナレシア(プロフ) - これ面白すぎる(＞∀＜)こういうの好きなんですよ〜♪続きが楽しみです！！ (2014年6月21日 9時) (レス) id: 107d52b62e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：aru | 作成日時：2014年5月27日 23時
