第十話 嘘つき! ページ11
職員室に着いたころにはもう、朔夜はヘトヘトに疲れてしまっていた。
女の子たちが自分の教室へ戻っていき、やっと解放されたと一息つこうと思ったら、次はムサイおじさんに話しかけられてしまった。
じだんだを小さく踏みながら、おじさんの方を見上げる。
「おぉ、待っていたよ、伏見。私は君の担任を務めることになった佐藤だ」
嘘つき!
朔夜を安心させようと思ったのかニコニコと満面の笑みを浮かべた佐藤に向かって、心の中で叫んだ。
本当はこの人間、「待っていたよ」だなんて思っていない。
朔夜は佐藤の瞳をじっと覗き込み、睨み付ける。
このおじさん、絶対『コイツが昨日の仕事量を増やしやがったガキか』って思ってる。
佐藤は朔夜の不機嫌そうな顔色を見て、眉間にしわを寄せた。
『大人に向かって、こんな生意気な表情を……』
佐藤の濁った目から朔夜の目へと、情報が荒波のように押し寄せてくる。
人間っていうのは、こんなにも嘘つきな生き物なのか。
朔夜はふと目を逸らし、うつろな目の色を隠すようにほんの少しだけ俯いた。
探してるあの子も、コイツみたいに嘘つきだったら――嫌だな。
「ほら、伏見。早く行くぞ。自分の教室の場所、きちんと覚えておけ」
朔夜は、あっという間に佐藤のことを大嫌いになってしまっていた。
相変わらずムスッとした表情のまま、まるで夜中にたむろう不良のように、ぼてぼてと無言で着いていく。
そんな朔夜の態度が気に入らないのか、佐藤は人間には少しも聞こえないくらい小さな音を立てて、舌打ちをした。
もっとも、朔夜は人間よりも耳が良いため、ばっちりその舌打ちの音を聞き取ることができたのだが。
舌打ちなんてすんなよ!
朔夜は心の中でわめき叫んだ。
群れにいたころ――つい昨日まで、仲間の舌打ちの音を数十と聞いてきた。
もう、舌打ちは沢山だ。
短い音のくせに妙に耳に残り、心をえぐるような聞き心地の悪いあの音は、朔夜の心の中にずっと居座り続けている。
第十一話 アイツには絶対に関わらない→←第九話 整った顔立ちの少年
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凍夢(プロフ) - おもしろいです!続きがきになるので続きをお願いします (2018年7月17日 0時) (レス) id: 00e413b96f (このIDを非表示/違反報告)
アナナス - 面白いです、続き待ってます。 (2017年7月4日 16時) (レス) id: c0c87a14c1 (このIDを非表示/違反報告)
闇風ヤク@アニオタ重症(プロフ) - 面白いw更新楽しみにしてる!!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆ (2014年8月10日 14時) (レス) id: a55c4f8740 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - なかなかです。続きが気になります頑張って下さい。 (2014年6月22日 18時) (レス) id: baa4070149 (このIDを非表示/違反報告)
ルーナレシア(プロフ) - これ面白すぎる(>∀<)こういうの好きなんですよ〜♪続きが楽しみです!! (2014年6月21日 9時) (レス) id: 107d52b62e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:aru | 作成日時:2014年5月27日 23時