第十一話 アイツには絶対に関わらない ページ12
佐藤が教室の扉を開けると、教室の中にいた生徒たちは一気に目を丸くさせた。
「転校生来たぁ」
「やっぱり。あたし、このクラスに来るって、予想してたもん」
ざわざわと騒ぐ生徒たちを、佐藤は大声を張り上げて静かにさせた。
すぐ隣にいた朔夜が思わず耳をふさぐほどの大声だった。
耳がキーンとするのを頑張って我慢しながら、朔夜は教室内をまんべんなく見渡す。
「ほら、伏見。自己紹介して」
佐藤に言われるがまま一歩前に出て、さらによく見渡せる位置に立ち、生徒たちをじっと見つめる。
「えーっと、伏見朔夜です。きんちょーしてるけど、よろしくおねがいします」
リーダーにならった「じこしょーかい」を思いっきり棒読みで発表していたが、朔夜の意識はすでに違う方向を向いていた。
(……人間……金髪っぽくて、髪を左耳の下でまとめてて……)
「――あ」
朔夜の目が、何十倍にも増して輝きを放った。
* * *
穂乃果の目が、一気に色を失っていった。
「――え」
(銀髪ストレート……。愛嬌のある目……!)
穂乃果の気持ちは一気に海の奥深くまで落ち込んでしまった。
ただでさえ他の人が苦手なのに、あんなに目立つ奴がうちのクラスに……!
そう考えるだけで、鳥肌が立つ。ぞっとする。
穂乃果は決めたのだ、アイツには絶対に関わらないと。
穂乃果の目に映る朔夜の像は、同学年の彼女をとっかえひっかえしながら、仲間たちとチャラチャラ夜中の都会を歩き回っているような不良である。
(でも、どうしよう……私のとなりの席、空いてるし……絶対となりに来るよね)
穂乃果は誰にも気付かれないようにそっと身を縮めた。
クラスの中での穂乃果は、陰キャラと呼ばれるものすごく静かで近寄り難い存在だ。
人が苦手なせいか、クラスメートとも全くと言っていいほど会話をせず、おかげでそんなイメージを植え付けられてしまった。
本当の穂乃果はそんな人間ではないのだが、クラスメートたちが自分にむやみに話しかけて来なければ、それでいいと思ってしまっているのが現状だ。
影が薄くて普段から異様なオーラをまとっている自分など、アイツのようなチャラ男が気に留めるはずもない。
目立たないようにしよう。
じっとしていれば、絶対私を見ることはないだろうから……。
そんな穂乃果の考えを見事に裏切り、朔夜は佐藤も驚くような大声で叫んだのだった。
「見つけたあああっ!!」
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凍夢(プロフ) - おもしろいです!続きがきになるので続きをお願いします (2018年7月17日 0時) (レス) id: 00e413b96f (このIDを非表示/違反報告)
アナナス - 面白いです、続き待ってます。 (2017年7月4日 16時) (レス) id: c0c87a14c1 (このIDを非表示/違反報告)
闇風ヤク@アニオタ重症(プロフ) - 面白いw更新楽しみにしてる!!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆ (2014年8月10日 14時) (レス) id: a55c4f8740 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - なかなかです。続きが気になります頑張って下さい。 (2014年6月22日 18時) (レス) id: baa4070149 (このIDを非表示/違反報告)
ルーナレシア(プロフ) - これ面白すぎる(>∀<)こういうの好きなんですよ〜♪続きが楽しみです!! (2014年6月21日 9時) (レス) id: 107d52b62e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:aru | 作成日時:2014年5月27日 23時