第三話 懐いたことがある？ ページ4
「お前、本当に、人間が嫌いなのか？」
リーダーが念のためと、朔夜にそう尋ねる。
「嫌いだって！ しつこいぞ！」
こみ上げてきた怒りをかろうじて押さえつけ、低く唸る朔夜。
「お前は昔、人間に一回だけ懐いたことがあったのに……忘れたか？」
静かにリーダーはそう告げる。
「はあ？」
朔夜はそんな馬鹿なことがあってたまるかといった表情を向けた。
「デタラメいうのやめろよ。昔人間に懐いたことがある？ それだったら、今頃オレは人間大好き野郎だったはずじゃねえか」
リーダーは、深いため息を吐いた。
* * *
カッカと怒ってばっかりだったので、リーダーに少し頭を冷やせと言われたあと、朔夜は色々なことを小さな脳みそでうんうん唸りながら考えた。
どうも「人間に懐いたことがある」という言葉が、頭の片隅に引っかかって、外れる気配がしなかったのだ。
言われてみれば、人間に懐いたことがあった気がしなくもない。
いつから「人間が嫌いだ」と言ってきたかも覚えていないし、なぜ人間を嫌っていたかも分からない。
どうしても頭の片隅にある引っかかった違和感を取り除きたくて、前足で頭をくしゃくしゃとかき回す。
そこへ、リーダーが現れた。
「朔夜。頭は冷えたか」
「うん」
朔夜は答える。
「でも、あんたの最後のセリフが気になって……全然落ち着かないよ」
「最後のセリフ？」
「ほら、人間に懐いたことがあるって」
リーダーは納得がいったように何回も首を縦に振った。
「あぁ……気になるのか」
リーダーは続けた。
「お前が懐いたことがあるっていう人間が、その学校にいるんだが」
* * *
「もう、問答無用だからな。明後日から、学校行けよ。分かったか？」
「……うん」
朔夜は小さく頷いた。
朔夜の諦めがついたわけでは、決してない。
懐いたことがあるという人間が、とても気になって仕方がなかったのだ。
「良かったなー、朔夜、人間と暮らせてさ！ ま、精々がんばれよ！」
仲間たちの声も、一見励ましのように聞こえるが、目元を見れば、一目瞭然だった。
相手の目は少しも笑っていない。
一瞬キレてしまいそうになったが、奥歯を噛みしめてぐっと我慢した。
「厄介者が消えて、よかったな」
朔夜も、仲間たちと同じように相手をあざ笑ってやったのだった。
そんな対応ができるほど、朔夜には余裕ができていた。
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凍夢(プロフ) - おもしろいです！続きがきになるので続きをお願いします (2018年7月17日 0時) (
レス) id: 00e413b96f (このIDを非表示/違反報告)
アナナス - 面白いです、続き待ってます。 (2017年7月4日 16時) (レス) id: c0c87a14c1 (このIDを非表示/違反報告)
闇風ヤク@アニオタ重症(プロフ) - 面白いw更新楽しみにしてる！！☆*:.｡. o(≧▽≦)o .｡.:*☆ (2014年8月10日 14時) (レス) id: a55c4f8740 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - なかなかです。続きが気になります頑張って下さい。 (2014年6月22日 18時) (レス) id: baa4070149 (このIDを非表示/違反報告)
ルーナレシア(プロフ) - これ面白すぎる(＞∀＜)こういうの好きなんですよ〜♪続きが楽しみです！！ (2014年6月21日 9時) (レス) id: 107d52b62e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：aru | 作成日時：2014年5月27日 23時
