第二話 人間なんて…… ページ3
「人間なんて……」
朔夜は大きなため息を吐いて、目を伏せた。
怖いだけだよ、あんな奴ら。
「そんなに人間が嫌いか?」
リーダーが朔夜の心の中を読み取り、そう問う。
「嫌いだよ」
朔夜はそう答える。
「嘘つく必要もないのに」
「本当に嫌いなんだよ!」
首を横に振り続ける朔夜を見て、リーダーの顔に諦めの表情が染みついた。
「……なんで、オレなんかが。どうせ、いつもの嫌がらせだ……」
朔夜はぶつぶつとその言葉を繰り返し、頭を抱え込むように、体を小さく縮めた。
みんな、みんな、大嫌いだ。朔夜は心の中で泣き喚いた。
「いつもの嫌がらせ」とは、群れのメンバーたちの除け者にしてくるような態度のことだ。
朔夜がなぜ群れの仲間から嫌われているかといえば、それは朔夜の体が全身雪のように真っ白な毛でおおわれていたからである。
他の狐たちは茶か金色で、一匹たりとも朔夜のように白い狐は存在しなかった。
この清潔さを見ろとでも言わんばかりに毛が白かったので、群れの中でも浮いた存在であった朔夜。
親に捨てられたということもあってか、仲間にも普段から避けられ続けていた。
今まで友達と呼べる存在さえ作ることができていないほどである。
ただ、朔夜は友達なんていらないときっぱり割り切っていたため、手の付けようもなかったのだが。
「朔夜、問答無用だ。学校に行け」
「やだってば……」
朔夜が泣きそうになると、さっきまで物陰に隠れていた仲間たちがひょっこりと顔を出した。
そして、「行け行け朔夜、行け行け朔夜」と息ぴったりのコールを叫び始める。
仲間たちのからかう声を聞き、朔夜はぎゅうっと唇を噛みしめて悔しさを我慢した。
「くそ、他人事だと思って……」
背中にコールを受けながら、それに押し倒されないように足を踏んばりどうにか立っている朔夜に、リーダーはさらに厳しい視線を突き刺した。
「期限は一か月。お前の人間嫌いを直すための修行だと思って、行ってこい」
「なんだよ、それ。なんでオレだけ……。他にもいるじゃんか、人間嫌いの狐なんて。数え切れないくらい」
朔夜が諦めず反抗を続けても、リーダーが厳しい視線を緩めることはなかった。
「お前は特別だ」
「特別じゃない! オレは、他の奴らと同じだよ! 全然、同じなんだよ!」
「……問答無用だと言っているだろう、なぜ分からない」
リーダーが悲しげな表情を浮かべたのが、朔夜には分からなかった。
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凍夢(プロフ) - おもしろいです!続きがきになるので続きをお願いします (2018年7月17日 0時) (レス) id: 00e413b96f (このIDを非表示/違反報告)
アナナス - 面白いです、続き待ってます。 (2017年7月4日 16時) (レス) id: c0c87a14c1 (このIDを非表示/違反報告)
闇風ヤク@アニオタ重症(プロフ) - 面白いw更新楽しみにしてる!!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆ (2014年8月10日 14時) (レス) id: a55c4f8740 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - なかなかです。続きが気になります頑張って下さい。 (2014年6月22日 18時) (レス) id: baa4070149 (このIDを非表示/違反報告)
ルーナレシア(プロフ) - これ面白すぎる(>∀<)こういうの好きなんですよ〜♪続きが楽しみです!! (2014年6月21日 9時) (レス) id: 107d52b62e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:aru | 作成日時:2014年5月27日 23時