き ゅ う ページ12
万里side
｢お会計こっちね〜。
えーっと、合計2486円です。｣
｢はいっ。｣
幸から預かった封筒から3000円を取り出してAさんに渡した。
｢おつりと、レシートね。｣
Aさんは、そう言って俺にお釣りとレシートを渡した後、
つやつやしたサテン布を綺麗に畳んで、
針や糸の入っているであろう小さい紙袋と一緒にビニール袋に入れてくれた。
｢はい。ありがとう。｣
その袋を俺に渡して、Aさんはニコッと笑った。
可愛すぎる…。
｢じゃあ、えっと、ありがとうございました。｣
名残惜しいが、仕方ない、帰ろう と向きを変えた時だった。
｢あ、ま、待って、万里くん…！｣
Aさんに呼び止められた。
何か忘れたのかと思って振り向くと、Aさんは手に小さい何かを持ってる。
よく見ると、針山クッションだった。
透明のビニールと赤のリボンで可愛くラッピングされている。
マメだなあと思った。
｢この カナリア堂オリジナル針山、ホントは、うちの店のスタンプためてくれた人にあげてるんだけど、
昨日、万里くんが 刺繍糸綺麗って言ってくれて、なんか凄く嬉しくて、
針山に、お名前刺繍しちゃったの、
良かったら…｣
こんなことがあるだろうか。
嬉しすぎる。
もはや、どう表していいか分からない。
何なら呼び止められただけでも嬉しかったってのに。
Aさんが、俺の名前を刺繍してくれた なんて、
ちょっと素敵すぎねぇ？
｢め、迷惑、だよね、万里くん、お裁縫とかしないだろうし、えっと、ご、ごめんね、｣
俺は、黒地に黄色のカナリアが描かれた針山を 引っ込めようとするAさんの手首を掴んだ。
Aさんは、びっくりして俺を見上げる。
｢すみません、嬉しくて、つい固まってました。｣
｢え、｣
｢名前まで入れてくれて、めっちゃ嬉しいっス、大事にしますね。｣
｢ほ、ほんと、？
良かった〜、嬉しい。｣
Aさんは、安堵したように眉を下げて笑った。
｢ありがとうございます。
また来ますね、Aさん。｣
俺はAさんの手首を離し、針山を受け取ってから、
Aさんに手を振り、店をあとにした。
｢ば、ばいばい。｣
『ばいばい』って、はあ、可愛い。
あれ、俺ちょっと真澄チック？
((ば、万里くん、わ、わたしの、名前…))
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三ヶ縞 そう(プロフ) - なかやさん» その通りです！ただですね、脳内で呼ぶ時に監督ちゃんだとちょっと親しみがですぎるかなと書いてて思いまして…勝手ながらいづみさん呼びにさせて頂きました…！ご指摘ありがとうございます！ (2018年8月18日 21時) (
レス) id: be0f3094b7 (このIDを非表示/違反報告)
なかや(プロフ) - 万里くんは、いづみちゃん(監督)のことを監督ちゃんって呼んでますけど…(わざとでしたらすみません！) (2018年8月18日 15時) (レス) id: 7dbd32ccfb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三ヶ縞 そう | 作成日時：2018年8月13日 13時
