五十五 ページ5
それからというものAと戦場へ何度も共に立った。
人を斬り、戦の無い日は骨喰も輪に入れ部屋で語り。
そう充実していると思っていた矢先の事。
｢何、Aが持ち出された？｣
三日月がそれを聞かされたのはまだ日も昇っていない薄暗い時間帯だった。
｢少し離れた所に織田の率いる軍があるだろう。そこに行く際に持ち出した、と俺は聞いた。｣
淡々とそう告げた骨喰に眉根を寄せる。
｢…となるとAは今、本能寺か｣
しかし織田の軍は亀裂が入っていたはず。
反乱がどうとか…
｢…巻き込まれなければ良いのだが…しかし何故持ち出された？戦でもしようと？足利の思案か？｣
｢いや、そういう訳じゃないらしい。俺にも詳しくは分からないが｣
ふむ、そうか。
三日月はそう呟き狩衣の裾を翻す。
｢三日月宗近？どこへ行く｣
｢なに、主のもとへと行こうかと思っただけだ。ちと気になることがあってな｣
表では冷静に繕っていたつもりだが内心凄く焦っていた。
____Aが持ち出されたのが、
もしそれが無断であったら。
｢…いや、これは、ちと冗談がすぎるぞ｣
そもそも戦へ行くにあたって、どの刀剣を何者が持つかなどはその前夜に決められる。
今までそうしてきたし、決められた時にAは真っ先に俺へと報告をするようになっていた。
俺は今回の件は誰からも聞いていないし、
もちろんAから報告もされていない。
｢明智光秀の反乱が始まった！！！｣
｢A兼永はどうした！！｣
足利の使いと足利の声が耳に入る。
反乱が始まった？
Aはどこにいる。
乱れる衣装など気に留めていられない。
俺は本能寺の見える方角、骨喰がいた場所へと足を急がせる。
息を切らしながらも向かうと、骨喰が目を見張るようにして城の向こうの様子を眺めていた。
そこに広がっていたのは状況が一目で分かる光景。
織田信長がおちた。
姿を一変させ赤く燃え上がる本能寺。
｢…なぁ、Aは、あそこにいると言うのか…？｣
隣に立つ骨喰に問えば、分からない、と返される。
｢…三日月、まだどうなるか分からない。帰って来るのを待とう｣
そう言われた言葉にただ呆然と頷くことしか出来なかった。
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メイビー - とても面白い作品でした！また更新される日をまったりとお待ちしております！ (2019年9月21日 10時) (
レス) id: b81cd1be97 (このIDを非表示/違反報告)
SHINO - 早く続きが見たいです！頑張ってください (2019年9月16日 21時) (レス) id: 5129f74190 (このIDを非表示/違反報告)
舞桜 藤四郎(プロフ) - 面白すぎて一気読みしてしまいました…！今は更新停止中？？なのかな。続き楽しみにしてます！ (2019年1月30日 23時) (レス) id: 770379ee24 (このIDを非表示/違反報告)
カノン - これ更新停止？ややこしいからやめてくれません？ (2018年12月26日 20時) (レス) id: 7efa097657 (このIDを非表示/違反報告)
夢現乱舞(プロフ) - もう更新はなさらないのでしょうか… (2018年11月1日 21時) (レス) id: ba351ca7ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三日美 | 作成日時：2016年8月26日 12時
