五十四 ページ4
｢やぁ、ご苦労。今日は骨喰との出陣だったか｣
｢三日月は今日は…｣
｢うむ、一人寂しく茶でも啜っていたさ｣
｢今日だけじゃなく、昨日も気楽に茶を飲んでいたと思ったが｣
｢うむ、違いない｣
足利の本拠なるものに足を踏み入れてから知り合った
骨喰藤四郎
という刀。
彼も自分たちと同じように足利を主にと立て、
更に刀の付喪神であるという。
Aとも中々に気が合うようで、戦でも手を組み参戦する事も少なくなかった。
俺も含め、兄弟刀がいる身として話が盛り上がったのもきっかけにあるかもしれない。
｢して、戦果はどうだったのだ？｣
｢ご覧の通りですよ｣
A兼永が後ろを振り向き指を指す。
そこには出陣前とさほど変わらぬ兵の姿。
__圧勝か、流石と言うべきだな。
そう三日月が褒めてやろうと口を開いたが、
｢疲れた、戻る。
また後ほど三日月の部屋で｣
骨喰はそう言うや否や自室へと向かってしまった。
｢…相変わらずですね？｣
｢む？ちと柔らかくなってきたとは思わんか？｣
骨喰は周りよりも冷めている、
というか感情を表に出さない。
何を考えてるのか分かりづらいところが多々あった。
故にそれを見兼ねた俺達は
昨日よりは楽しそうだった
何に興味を示していた
等の骨喰の報告をし合うのが日課になりつつあった。
｢でも最近、骨喰の方から話しかけてくれる事増えましたよね｣
｢…そうか？｣
｢えぇ？｣
クスクスと笑うA。
その笑顔に癒され、
手を伸ばしたが
｢この後軍議があるので｣
と、やんわりと退けられた。
｢軍議か…。仕方ないな、しっかりと参加してくるんだぞ？ 良い話を待っておる｣
にっこりと微笑み、礼儀正しく頭を下げるA。
そこを狙い頭を撫でようと再び手を伸ばしたが、またもや避けられた。
いかにせんAは守りが堅い。
｢では、三日月。
また後ほど三日月の部屋で｣
骨喰の真似をするかのように淡々と告げ背を向けたAに思わず吹き出す。
そうさなぁ、今宵も楽しみにしておくか。
何の話題から入ってやろうか。
嗚呼、そういえば織田の軍が割れるという噂を耳にしたな…
うむ、それから入ろうか。
と、心を踊らせながら、彼もまた自室へと向かって道を辿った。
___時、大正十年 皐月四日
明智軍の謀反、本能寺の変迄 後約四十八日余り。
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メイビー - とても面白い作品でした！また更新される日をまったりとお待ちしております！ (2019年9月21日 10時) (
レス) id: b81cd1be97 (このIDを非表示/違反報告)
SHINO - 早く続きが見たいです！頑張ってください (2019年9月16日 21時) (レス) id: 5129f74190 (このIDを非表示/違反報告)
舞桜 藤四郎(プロフ) - 面白すぎて一気読みしてしまいました…！今は更新停止中？？なのかな。続き楽しみにしてます！ (2019年1月30日 23時) (レス) id: 770379ee24 (このIDを非表示/違反報告)
カノン - これ更新停止？ややこしいからやめてくれません？ (2018年12月26日 20時) (レス) id: 7efa097657 (このIDを非表示/違反報告)
夢現乱舞(プロフ) - もう更新はなさらないのでしょうか… (2018年11月1日 21時) (レス) id: ba351ca7ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三日美 | 作成日時：2016年8月26日 12時
