漆 ページ8
Aはゆっくり目を閉じる
『我を守りし者、その名を示せ』
バラバラと紙がめくれ、ピンと一枚だけ飛び出る
友人帳からそれを外し口に咥え
手を合わせる
『名を返そう…つむり、受けてくれ』
Aがフーっと息を吐けば紙から文字が浮き出て
つむりの額に吸い込まれる
『流れ込んで来る、これはつむりの記憶…』
____
寒い雪空の下
つむりは何処かの祠で雪を凌いでいた
すると足音が聞こえる
レイコ「貴方妖怪?こんな所で何してるの?」
つむり「人の子よ、私が見えるのかい?」
レイコ「ええ、見えるわ
ねぇ勝負しない?私が負けたら貴方の言う事で何でも聞くわ、私が勝ったら貴方の名前を教えて」
そうして始まった雪合戦
レイコは容赦なくつむりに雪玉を当てる
レイコには一つも雪玉は当たらず
勝負はレイコの勝ちだった
レイコ「ありがとう、へーむつりって言うの、綺麗な字ね
私が名を呼んだらまた遊びましょう」
そう言って来た道を帰って行った
つむりは何年も何十年も冬になるとその場所で待っていた
____
つむり「また遊びたかった、しかし、レイコは一度も名を呼ばず、会う事は出来なかった
そうか、孫か…
レイコに瓜二つだね。人の寿命とはなんと短い…
ありがとうA殿
安倍殿、望みは叶った私を隠世へ祓って下さい」
安倍「承知致しました」
安倍はウサギに体を向ける
安倍「貴方もご一緒によろしいでしょうか?」
ウサギ「はい!よろしくお願いします」
安倍は丁寧にお辞儀をすると草原に手をつき構える
安倍「物怪庵主、安倍晴齋、隠世の扉を御頼み申す」
そう唱えると地面に狐の絵の襖が現れる
172人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
、 - オリジナルフラグちゃんと外しましょう。違反行為です (2018年8月7日 22時) (レス) id: 7cb5057192 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:シェリー | 作成日時:2018年8月7日 22時