拾壱 ページ12
『あの、本当に上げて下さい
安倍さんが謝る事じゃないんですから！』
ゆっくり安倍の肩に触れる
すると吸い込まれるようにAは意識を手放した
ドサっ
芦屋「え！夏目さん！ちょっ！
どどど、どうしましょう安倍さん」
慌てて安倍に声をかける芦屋だが、すぐに安倍の異変に気がつく
芦屋「安倍さんまでどうしちゃったんですか！」
安倍「隣でギャァギャァ喚くな！五歳児！
分かんねえ、力が急に入らなくなった」
ゆっくり身体を起こし隣に倒れているAを抱き寄せる
魘されているのか時折声を漏らしている
ヒノエ「あんたの力と同調しちまったみたいだね
今Aはあんたの記憶の中に居るんだよ」
安倍「！！」
芦屋「そんなことできんの！？」
斑「力のある者同士はな
全くこうなれば部屋に運ぶしかないな
Aは夜まで、いや明日の朝まで起きんかもな…」
芦屋「な！それ一大事じゃん！」
安倍「…どこか、扉のついた建物はないですか？」
安倍の問いに斑とヒノエは顔を見合わせた
斑の背に芦屋、安倍、それと安倍の背に担がれたAがいる
近くの民家に降ろしてもらい
誰もいない事を確認する
安倍「モノノケ庵、来い」
ガタガタと音を立てガラッと扉が開く
そこには4畳半の茶室があった
安倍はAを横抱きにして入る
次にAと、自分の荷物を持った芦屋が入り
猫化した先生がトテトテと入ってきた
先生「ほぉ、これはなかなか面白いな
部屋が妖怪とは」
芦屋「流石妖怪！すぐに分かっちゃうんなんて！」
先生「これでも超上級妖だぞ、そこら辺の三級と一緒にするな」
ペチっと芦屋の額に猫パンチをする先生
芦屋は大げさなリアクションを取っていた
安倍「(お前は今、俺のどの記憶を見てるんだろうな…)」
眉間に皺を寄せ眠るAの頬にそっと手を添える
安倍「(お前の記憶も見れたらいいのにと思ってしまう俺はどうかしているな…)」
初対面の筈なのに気になってしまう彼女の過去
きっと安倍が考えている事を経験して来たのだろう
ゆっくり羽織っていた羽織をかける
安倍「(俺は今そんなに辛くねぇけどな)」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 172人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
、 - オリジナルフラグちゃんと外しましょう。違反行為です (2018年8月7日 22時) (
レス) id: 7cb5057192 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：シェリー | 作成日時：2018年8月7日 22時
