I want to live quietly (ページ23)

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スタンド使い現る…？ページ23

菊池玲は学校中を案内して回ってくれた。
あまり表情の変わらない人間だったが、目鼻立ちはくっきりとしていて、整った顔立ちだった。色素の薄い髪が夕日の赤に当たる度キラキラと輝いて、Aは｢綺麗｣だと思った。

｢それで、ここが音楽室。｣
｢へぇ～｣
｢この先行ったらもう階段があって、そこを降りると美術室があるよ。｣
｢なるほど…あ、ピアノ。｣

Aが音楽室の中に入り、指先でそっと鍵盤に触れると、弦が弾かれてポロン、と美しい音が鳴った。

｢弾けるの？ピアノ。｣
｢ううん、前の学校に弾ける人がいたけど私は全然。人が弾いてるのを見るのが好きなの｣
｢僕弾けるよ。弾いてあげようか？｣
｢ほんとに？｣
｢うん。音が漏れないように(. . . . . . . . .)ドアを閉めるよ｣

菊池玲がゆっくりと扉を閉めた。
Aがなんとなくそちらを振り返ったその時、

菊池玲の背中が陽炎の如く揺らめいた。
そして、青い体に金色の目を光らせたスタンドが現れた。

振り返りきることなく、そこでAの意識は途切れた。

.☆.｡.:.+*:ﾟ+｡ .ﾟ･*..☆.｡.:*

｢う、ん…？｣

気づくと、そこはベッドの上だった。どうやら、保健室の中らしい。Aを覗き込むようにして見つめていたのは、仗助、由花子、康一、億泰。そして…

｢……菊池…君…？｣
｢あぁ、よかった。君、音楽室で急に倒れたんだ。『頭が痛い』って言ってね。｣
｢そっか…ピアノ、聞きたかったなあ｣
｢……夢でも見てたんじゃない。ピアノの話なんて、したっけ｣
｢そっか…｣

じゃあ、あれは夢だったのか。
嫌にリアルな夢だったなぁ…。

Aが考え込んでいると、仗助が顔を覗き込みながら言った。

｢おいAよぉ～、まだ気分悪いんじゃあねえのか？｣
｢えっ？｣
｢仗助の言う通りだぜ。なんか顔色悪いっつうかよォ｣
｢そうかなあ…？｣

Aが首を傾げると、仗助達はうんうんと頷いた。あまり気乗りしない様子で、康一がこう提案した。

｢僕が露伴先生の家まで送るよ。……え、えっと、由花子さんも来てくれると、嬉しいんだけど…｣
｢もちろんっ！｣

康一が物凄い顔で睨んでいる由花子にしどろもどろに聞くと、彼女は嬉しそ(それでいいと言うよ)うに大きく頷き、他のみんなは苦笑する。
すると、養護の先生が腰に手を当てながら今にも談笑を始めようとしている高校生軍団に声をかけた。

｢さ！元気な人は帰った帰った！｣
｢そうですね、そろそろ帰りましょうか｣
｢じゃあな～｣