リナリアの花をあなたへ (ページ3)

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私の勤めている会社は大手出版社…といっても私の仕事はこれ！といった安定したものでは無く、雑誌取材記者が持って帰ったデータを文章化する仕事だったり、記事の校正やその他もろもろの細かいところをオールマイティーに確認する何でもありな物だから、美月のいる編集部程騒がしくはない。とは言え、取材のアポ取るために電話とかするから全く静かな訳ではないけれど…

｢おはようございまーす｣

挨拶をすればおはよーございます！と帰ってくるアットホームなうちの部署。まだ朝が早いこともあり後輩と同期の2人しか居ないけど…

｢あ！Aさん！朝早くから悪いんですけどプロット作成したんで確認お願いします。｣

｢了解しました。確認しておきますね！｣

書類を受け取り、自分の席にまで行くとパソコンを起動させ、部署内の窓を開け換気をしていく。…ついでに窓際に飾ってある花の水の入れ替えも。

私が新入社員として入社した時はひたすらパソコンと電話の音しかしないような何のかざりっけもなかったこの部署。今でこそアットホームな部署として扱われてるけど私が入社した時は全くそんな雰囲気じゃなかったのに、上司が変わってからはいい方向に感化されて今のような部署になった。本人は気付いてないんだろうけど…

｢おはよ｣

｢ぉわっ！？…って、主任！おはようございます…！｣

｢…ん。おわって、そんな声出さなくても…｣

｢すみません…後ろ全然気付かなくって…｣

｢ふふ。いーよ。俺も急に声掛けちゃったし…お花、いつもあんがとね。｣

｢！！…いえ。好きでやってることなので…｣

お花を新しくして水も替えて、いつもの場所に花瓶を置いていると背後から主任に声を掛けられた。

大野主任。28歳にして主任へとスピード出世したイケメン上司。現在31。主任になると同時にうちの部署に来たんだけど、これがまたすごい人で。
…初めは以前の上司とのギャップがありすぎて、みんな戸惑ってたのに、いつの間にか主任が大野主任になったら『今までやってたのは何だったんだ』ってくらい仕事がスムーズに回るようになって。多分そこから私達の関係も周りに目を向ける余裕が出て来て、アットホームな感じになって来たように思う。

それに普段はのほほんとしてるのに意外と周りを見てて。
ちょっと体調悪い人や仕事が上手くいかない人がいると、仕事をいつもより早めに切り上げられるように促したり、いつの間にか話を聞いて一緒に居てくれてたりする。