プロローグ ページ1
何も無い平日の昼間。カーテンも締め切られお昼のワイドショーの音声だけが響く部屋に突如｢ピンポーン｣とインターホンが鳴る。
宅配頼んだっけ…？と思いながらもすっぴんを隠すためにその場しのぎでマスクをつけ玄関をあける。｢はーい…｣ガチャ
｢…久しぶり｣
｢…え？｣
ふわりと笑って相変わらずだなぁ、と言うのは
｢○○…？｣
｢他に誰に見えんの？笑｣
｢…なんで、あんた海外に行ったんじゃ…｣
｢帰ってきたんだよ。お前の顔が見たいなって｣
久しぶりにAの顔みたいなって思って、なんてほわほわと笑うその人は旅立つ前から変わらなくて、気付いたら涙が頬をつたった。
｢あんた、何年経ってると…私、ずっと、ずっと待ってるねって…｣
｢おう｣
｢でも、こんなに待つなんて思っでながっだ…！｣
｢わりぃ｣
｢、また会えて、良かった…｣
そう言って抱き着くと、ふわふわな腕が抱き締め返して…？って、あれ？こんなにふわふわしてたっけ…？何だろう、この手触り…
ぐんっと意識が急に持ち上げられるような感覚。
その時に相手の口が何かを言っていたような気がするが、この感覚には抗えず。
目を開けるとすっかり暗くなり、テレビの砂嵐の音だけが流れているいつも見る天井が見えた。
｢ﾊｯ…ハックシュ！！…あーー、夢、かぁ…｣
思わず寒くて手繰り寄せたのだろう、4月にも関わらず出しっぱなしにされているコタツ布団が中途半端にお腹の辺りに掛けられていた。
｢……ちゃんとベッドで寝よ…｣
ふわぁ、と欠伸をしながら立ち上がる。さっきまで見ていた夢ももう、朧気だ。
『また、いつか』
最後に言われた言葉さえもこの時の私はすっかり抜け落ちていた。
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作者名：おこげ | 作成日時：2019年4月25日 13時
