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訝しげな声を上げる鶴丸に、本当だともと目配せをする。
「ほら、Aさんが何かをじっと見つめているでしょ？あれ、蛇神を見てるんだ。雌の蛇は蛇神に求愛する性質を持ってるから。今はあのでっかいのに捕まってるから動けないけど、解放されたら蛇神の方に一直線だと思うよ。まあ、肝心の蛇神は今、死角になってる所に居て見えないけどね。」
「…主が、求愛？」
「正確に言うとAさんに憑いた雌蛇が。」
鶴丸は、Aが見えない蛇神に擦り寄る姿を想像してみる。
…悪寒が走った。だって、あのAだぞ？人見知りで、いつもぴるぴるしていて、初対面の相手にはまともに話せないのに。まあ、本丸に顕現した刀剣男士は別だが。
鶴丸は一人でマウントを取りつつ、死角に居る蛇神を一心に見つめるAを見た。
「…あの大蛇は、主に何をしているんだ？」
「…」
「…？なあ。」
ふとあの蛇は何をしているんだ？と気になり、問いかけてみるも、返事がない。
不思議に思って振り向いてみると、三人と三振りは気まずそうに目を逸らしていた。
「…なぜ目を逸らす？」
なんだか良くない気配を感じ、眉根を寄せて、少し低めに声を作って、質問をしてみる。
うぐ、と声を上げ、渋々口を開いたのは青髪の少女。鶴丸の圧に耐えられなかったという事は、まだ見習いなのかも知れない。
残りの二人と三振りは、馬鹿！とでも言うように青髪の少女を見た。
「…あの蛇はね、蛇神に子種を植え付けられた雌蛇。あの図体で分かると思うけど、普通のより格上なんだよね。」
「…で？その蛇が主に巻きついて何をしているんだ？」
ぐぬ、と少女は詰まり、近侍であろう加州清光を見遣った。
彼は無情にも首を静かに横に振った。
「主、もうどうしようもないや、言いな。」
「加州君…！」
鶴丸は向き直った少女を急かすように、睨みを聞かせる。
う、と声を漏らし、少女はおずおずと続けた。
「その、あの、…あんまり怒らないでね？」
「分かったから早く。」
「…蛇はAちゃんにその子種を植えつけようとしているんだ。」
消え入りそうな声で言ったにも関わらず、鶴丸の耳はそれを拾い上げた。
…？？？あの蛇が？どこぞの馬の骨の子種を？植えつけようとしている？？？それも俺に主に？？？？
「…は？」
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作者名：味噌田楽 | 作成日時：2021年5月23日 22時
