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主、なあ主、どういう事だ?定期検査と言っていたではないか、嘘を吐いたのか?酷い。酷いぞ主。定期検査の日、いつもこんな事をしていたのか。
「なあ!主!!」
「今のAちゃん、意識無いよ。」
喉が破けそうな程の声量で叫んだ鶴丸は、唐突に聞こえた声にびくりと肩を震わせ、勢いよく後ろを振り向いた。
平坦で、どこか諦めたような声の主は、青い髪の少女。近侍だろうか、加州清光を連れている。
いつの間に来たのだろうか。鶴丸は気配を感じなかったぞ、と漏らす。
「あんたがAさんを見るのに完全に集中していたからだろ。」
「うん、すごい集中力だった。だよね、長谷部。」
「はい。」
「っ?!」
横から聞こえた声に、ばっと振り向く。
そこに居たのは猫耳と猫尻尾の生えた少女に、ペストマスクを付けた恐らく少年。キャラが濃い。
彼女らも同じように、近侍であろう刀剣たちを連れていた。
ガラスの向こうのAは、未だに体を弄られたままだ。ぴくりとも動かない。
「確かに、身動ぎ一つしないな。」
Aをじっと見つめてみる。
現在意識が無いらしいAは、身包みを全て引っ剥がされており、全裸である。見えたら色々とあかんところはギリギリ蛇が隠しているが、それはそれでなんだか腹が立つ。
「…ん?」
注意深く見ていたら、Aの瞳が開いていることに気がついた。
意識が無いのではなかったのだろうか。
真紅に爛々と輝く瞳は、一方向を見つめており、こちらには一瞥もくれない。
不思議に思い、隣のペストマスクの少年に声をかける。
「なあ、主、目が開いているぞ?意識が無いんじゃなかったのか?」
「…ああ、Aさんの意識自体は無いよ。彼女、今は雌の蛇に憑かれているんだ。」
「…蛇に?」
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作者名:味噌田楽 | 作成日時:2021年5月23日 22時