鶴の残涙 (ページ1) - 小説/夢小説

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鶴の残涙ページ1

「うわぁ、もうこんな時期なの？」

主が小さく呟いた。その声色はとても嫌そうである。
本日の近侍である鶴丸は、不思議に思って彼女の手に握っている紙を覗いてみる、『定期検査のお知らせ』と書かれていた。
どうやら、主はこれが嫌らしい。

鶴丸はふむ、と手を口元に置いた。
定期検査か。主は嫌なのだな...
うん、面白いものが見れそうだ。それに政府にはいい驚きがあるだろう。
そこまで考えた鶴丸は、よし、と呟き、ガタンと音を立てて立ち上がる。

「主！」

その瞳はキラキラと輝いており、彼の主であるAは、その気迫に若干引き気味になった。
微妙に後ずさりながら、何、と聞くAに、ずいと近づいて鶴丸が言った。

「その定期検査とやらの近侍、俺にしてくれないか！」

時は飛んで定期検査当日。
Aは項垂れながら、鶴丸はうっきうきで政府に来ていた。
そういえば、と鶴丸がAに問いかける。

「主はなんで定期検査が嫌なんだ？というか定期検査と定期検診ってどう違うんだ？」
「ああ、なんか、定期検査中、いつの間にか寝ちゃってて...記憶が無いんだよね...」

なんかジュース飲むところまでは意識あるんだけど....とため息をつきながらなんでだろうと呟く。ちなみに定期検査と定期検診の違いはAもよく分からないらしい。

Aはまあ、行ってくるよ、と鶴丸に声をかけ、政府の奥の方に歩いていった。
これで鶴丸は手持ち無沙汰だ。
少し考えて、仕方が無いので、鶴丸は政府を徘徊する事に決めた。

「...？なんだ？ここ。」

ふらふらと政府の建物内を歩き回り、道に迷ってとりあえずどこか着ければと奥の方に進んで行った鶴丸は、不審な扉を見つけた。
何が不審かって、そこの扉の付近には別の扉が一つも無く、窓もついていない、それに、別の扉には部屋の名前がプレートに記入されて掛かっており、一目でどの様な部屋か分かるのに、この扉には何一つ掛かっても、書かれてもいないのだ。
いつも驚き驚きと騒いでいる鶴丸は、もちろんこの扉が気になった。
鶴丸は入ったら怒られるよな、でも気になる、と少し考え、まあ、大丈夫だろう、此処は人気が無いから気づかれることも無いだろうし、という結論に行きつき、早速、その扉を開けたのだった。