悪魔の囁き②【魔入間】 (ページ19)

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６２話ページ19

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「＿＿遅いわねぇ、あの2人」

　アスモデウスくんとウァラクさんがゴールした事を皮切りに、その後順々に皆ゴールをし、残った入間くんとサブノックくんの2人の帰りを待つ。だが、日も暮れ始める中、待てども待てども到着する気配が無い。

「入間ちー！迷子になったのー！？」
「もしやサブノックと同じ様に、金剪の方へ向かったのでしょうか……」
「う〜ん…多分それは無いと思うけどなぁ……」

　飛べない彼が自ら向かうという事は絶対に有り得ない。だが、あの2人だけ帰って来ない様子を見ると、やはり何かに巻き込まれたのではと心配になる。

「もう待つ事も無い」

　痺れを切らし、カルエゴくんは容赦なくチェック表から入間くんの名前を消す。

「カルエゴくん……」
「粛に！授業は終了だ。位階(ランク)の発表を開始する」

　ゴールの目印である赤い旗を振りながら入間くんの名前を叫び続けるウァラクさん。そんな彼女を一喝し、カルエゴくんは位階(ランク)の発表を開始しようとする。

「待て！入間様がまだいらしてない！」
「戻って来ぬ者は見捨てるしかない」
「カルエゴくん、お願い。もう少しだけ…もう少しだけで良いから、待ってあげようよ……」
「そうだそうだー！」

　ダメ元でカルエゴくんに切願する。すると納得のいかないウァラクさんとアスモデウスくんも便乗し、彼に抗議をし始めた。忽ちカルエゴくんの顔は渋面な顔に変わっていく。

「……あのなぁ、貴様等…もう日も暮れ始めているし、これ以上は奴等の為だけに時間を掛けてはおれ＿＿」

　カルエゴくんが言い終わるか終わらないかの所で、突然正面から強風に煽られる。

「わ……ッ！」

　突風でよろけそうになった所を、カルエゴくんが片手で私の腰を支えてくれた。

「大丈夫か？」
「あ、ありがとう、カルエゴくん＿＿」
「うわぁ！何か来たぁ！」

　ウァラクさんの声に目を正面に向けると、鳴き声を上げながら此方へ向かって来る巨大な魔獣が目に入る。

「あれは！金剪の長……ッ！？」
「あれが……！」
「何故ここに！金剪の谷から出て来るとは……」

　此方に向かって飛んで来た魔獣、それは金剪の長だった。金剪の長は今、気が立っていて凶暴な状態の筈。

「下がってろ貴様等！」

　そんな危険状態の長から生徒達を護ろうと、カルエゴくんは戦闘体制に入る……が、そんな中で突然聞き覚えのある声が。

「＿＿おーい皆ー！」
「……！入間くん！？」

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