【おそ松さん】ラ ッ キ ー ス ケ ベ【おそ松】【学生松】

▽ラッキー23 ページ29

トド松side




もう陽も沈みかかっている。

夏だが肌寒い風が吹き、体を冷やしていく。




「今日は楽しかったねー♡」


「…そーだね。」




かき氷をおそ松兄さんと買ってきた時から、Aはそんな風のように冷たい。


折角(せっかく)これから帰るとこなのに、Aだけ暗い顔をしている。


気付いているのは、その原因であるはずのおそ松兄さんと、察しのいいボクくらいだと思う。







「…A、なんかあったでしょ。」


「……なんも、ないよ。」




質問をしても、絶対に教えてくれない。


ボクたち幼馴染みじゃん。


なんで教えてくれないの。




何があったのかは知らないけど、辛いのは、悩んでいるのはAのはずなのに、何故がボクも辛くなってくる。









「…頼ってくれればいいじゃん。」




そんなボクの呟きは、Aの耳には入らない。


おそ松兄さん絡みで何かあったのは間違いないと言っていいだろう。




まさか、Aはおそ松兄さんのことが好き？


いや、そんなはずはない。

確か、カラ松兄さんだったはず。



けど、それを証明することはない。




ここはやはり、本人に聞くに限る。









「…A、少し時間ある？」


「…え？」




今はもう5時頃だ。

帰るまで少し時間もあるし、ここは強制的に聞き出さないと、言ってくれるはずがない。




だって、Aは強がりだから。




本当は泣き虫のはずなのに、悩み事とか辛い事とか、誰にも言わずに一人で抱え込んでいる。




昔からそうだった。









「…よし。」





ボクは、Aの腕を掴(つか)み、他のみんなに向かって叫んだ。





「みんな！ちょっとAとお話したいから、先に行ってて！！」



「え！？ちょ！トッティ！？」






Aの抵抗なんて可愛いもんだ。

ボクだって、男なんだから。





向こうの方でおそ松兄さんたちの声が聞こえるが、無視して海の岩場までAを連れていった。

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