本心は壊して ページ12
――それから二時間ほどして、アタシの想定を見事に裏切らず直ぐにこの学校内は騒ぎに飲み込まれた。
まぁ、当たり前と言えば当たり前だ、だって授業開始から終了までずっとせんせーがどっかに行ったきり戻ってこないのだから。
「ああ、うるさいうるさいうるさい。」
特出した力も何も持っていない癖して誰かを小馬鹿にする事しか能の無い屑どもめが、なんて分厚い外面を突き破って出て来る内心を何とか寸前の所で飲み干す。
だって、こんな汚いの見せたら人気者になるどころじゃないだろう。アタシは綺麗に綺麗に誰にも分からない位に綺麗に外面を貼り付けなきゃいけない。
「……輝先生!輝先生!」
「十六夜せんせー!」
「あきらちゃんどこ!?」
どたどた、と外から足音が響いてくる。きっとこの保健室にせんせーが居ないか探しに来たんだろう。
「すみません!輝先生知りませんか!?」
がらがらがら、ばぁん。銃声みたいな音を立て、扉が開く。
そこから見えるのは……お人形さんの如くぱっちりとした、燃える様な深緑の瞳。色素の薄い茶色の艶やかなロングヘアー。そして、何と言っても熟成したワインみたく濃い魔力。
これは確か成績優秀クラスの篠原さんだっけ。
「……あっ、卯月さん」
気まずいです。彼女の顔はそれをありありと示すかの様に、少し歪んでいて……まぁ、別にそんなことはどうでも良い。
慣れっこだし。なんて思っていると、自分の口が勝手に開いて勝手に何時もよりワントーン高い声をつくる。
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西夏(プロフ) - 綺麗な文ですね! (2018年8月11日 13時) (レス) id: 66c6e8cd96 (このIDを非表示/違反報告)
ましら(プロフ) - やはり、うたちゃんの文章は、日本の匠に作られたとても繊細で、太陽の淡い光を受けて佇んでいる硝子ザ細工が如く美しいよ。うたちゃんの文章をありがとう! (2017年1月30日 16時) (レス) id: 512c5a6245 (このIDを非表示/違反報告)
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