加護 ページ17
二人が出て行ってからAは篭に入っていた禰豆子が窮屈でないかと気遣って彼女を篭から出してやった
ピクリとも動かない彼女にただ眠っているだけかと思いつつも不安が拭えない
そっと彼女の顔に耳を寄せるが呼吸音は聞こえる
(託されたからには、手助けしてやりたいんやけどねえ…)
意識のない少しだけ重たい体を持ち上げ手身近な布団に寝かせてやる
あどけない寝顔。まだ若くして鬼となった禰豆子に母親がするように首もとまで掛け布団を掛ける
『………少しだけやったら』
女が禰豆子の額へ触れるとその手の甲に桜の紋様が浮かび上がる
構わずその滑るような質感の額を撫でれば少しだけだが禰豆子の顔色が良くなった
「伝令!伝令ィ!!」
『続けんさい』
「水柱冨岡義勇ト舞柱巡桜Aハ直チニ産屋敷邸ヘ向カエ!!」
開け放した窓から鴉が羽を羽ばたかせ家屋へと入ってきた
肩に飛び乗るや鳴く黒い相棒の頭を撫でてからAはそっと立ち上がる
何故、自身と冨岡が呼び出されたのか言うまでもない
『…冨岡はんと合流しましょか。先にあん人を見つけてくれはる?』
「冨岡ァ!冨岡ァ!」
大きな翼を広げ再び空の下へ飛び出した鴉を見、そして禰豆子へと視線を移す
目覚める様子はない
するすると指通りの良い髪を一房だけ手に取ると紅が生える唇が触れる
『出雲の阿国の加護、しっかり受け取っとぉくれやす』
慈しみの色を宿し番傘を手にAは鱗滝の家屋を出た
すると炭次郎を山へ置いて帰ってきたのか鱗滝一人だけと対面した
「行くのか」
『ええ。…炭治郎はんのこと、頼んました』
「……ああ」
山を下りてこない限りは炭治郎を鍛え上げるつもりはない鱗滝だったが、Aの態度から若しやと可能性が浮かぶ
(炭治郎に何かを見出だしておるのか、Aは)
瞳の奥で燃える信頼の色は炭治郎が戻ってくると何処か確信めいているようにも見える
共に行動した時間は数えるほど、それなのにAにここまで信頼を寄せられる炭治郎に興味が湧いた
首を縦に振った鱗滝に女はより笑みを深めた
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蜜柑(プロフ) - あいうえおさん» 誤字指摘ありがとうございます…まさか主人公である彼の名前を間違えるとは申し訳ありません…… (2019年6月24日 23時) (
レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - すいません。「炭次郎」じゃなくて「炭治郎」ですよ。 (2019年6月24日 22時) (レス) id: d4ea0d195c (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - やよいさん» コメントありがとうございます…!やよいさんの作品も閲覧させていただいているので作者様からそう言ってもらえて嬉しいです! (2019年5月20日 17時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - はあ、、もう面白すぎです。。文才神がかってます。。大好きです。 (2019年5月20日 0時) (レス) id: 7302d83944 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蜜柑 | 作成日時：2019年5月6日 10時
