彼女の時間・四時間目 ページ38
「だいぶキマってんじゃねえか天宮のやつ…」
渚くんの必殺の一撃も、奥田さんお手製催涙効果の煙幕も物ともせず恍惚の表情を浮かべる彼女に寺坂が眉を顰める
この前見た茅野ちゃんと似た様子に変わり始めていることからあまり時間はかけられないのは明白だ
「天宮も触手を抜けば落ち着く、んだよな…?」
「いえ……恐らく彼女の場合、茅野さんやイトナくんのように後天的に取り付けられたものではないでしょう」
それまで謎の生物に拘束されていた殺せんせーがむくりと立ち上がる。Aちゃんが言う家族だからか乱暴な扱いができなくて拘束から逃れるのに時間がかかったのだろう
その証拠に律儀にも生物たちはラッピング用のリボンでぐるぐるに包まれている。どこから出したんだよ
「長い実験を繰り返された…同じく実験を繰り返した私にはよくわかります」
「それじゃあどうすれば…」
「ただ天宮さんはまだ触手と完全に同化したわけではありません。何年も強い負荷を受けていたからこそ、今それが爆発しています…そのせいで目的を忘れて殺し合いを悦楽としています」
狂気的な笑顔で岡野の首を的確に狙ったAちゃんを思い出す。前原が守りに入らなければ本当に死んでいただろう
その前原も防いだ腕をかなり痛がっている。言葉通り、殺す気で俺たちに襲いかかっているのだ
「先生は生徒同士に殺し合いをしてほしいわけではありません。ここは先生に任せて皆さんは下がってください」
はっきりと強い口調で後退を促すタコは先程とは違って本気だ。足手まといとかそういう問題じゃないのはここにいる誰もがわかっている
「そんなボロボロの状態で何言ってんの?」
けれどそれでも引けなかった。引きたくなかった
もう仲間だからとかそんな理由はなくて、単なる意地みたいな気持ちが強くて思わずそう口を挟んだ
「カルマくん、これは確かにそうですが…」
「要はAちゃんの目的を思い出させて正気に戻してやればいいんでしょ。それぐらいなら俺でもできるし」
不安そうな担任教師は見るからに傷だらけで消耗が激しい。多分、今のAちゃんなら一人で殺してしまいそうだ
賞金首を賭けられた超生物を守りたいわけじゃないが、このタコを殺す代わりに自分を犠牲にする彼女のやり方は好きじゃない
(ホント、そういうところイライラするんだよ)
律儀にこちらを待っていた彼女は俺が傷付けば後で申し訳なさそうにするんだろうな、なんて予測できる姿に息を吐いた
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なな - めっちゃすきです!(;ᴗ;)更新まってます!! (2022年8月19日 16時) (レス) @page42 id: 3ea5956e3b (このIDを非表示/違反報告)
2k?(プロフ) - 大好きです!!!!! (2022年8月9日 23時) (レス) @page42 id: 086cbb7ccc (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの駄作者(プロフ) - めちゃくちゃ好きです。続き楽しみにしています (2021年5月3日 8時) (レス) id: a3e16989e8 (このIDを非表示/違反報告)
mrsk11(プロフ) - 面白いです!更新楽しみにしてます! (2020年5月1日 14時) (レス) id: 7abb019b27 (このIDを非表示/違反報告)
琉渚 - 更新楽しみにしてました!!ありがとうございます!! (2020年4月8日 1時) (レス) id: 98b9c9a2d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蜜柑 | 作成日時:2019年4月10日 16時