嘘つきの私と最後の一年六時間目 (ページ33)

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彼女の時間・三時間目ページ33

小さな背中を追って奥へ奥へと進むに伴い明かりも消えていき、それがより恐怖心を煽る

視界が不良であると何処から襲われるか判断が遅れるから尚更だ。こんな道を案内する子供を未だ信じていないが、また食いかかればイトナが止めてくる。それは面倒だ

「さあ、着いたぜ。あんたらが探し求めていたモノも個々にあるだろう」

やがて辿り着いた先は電気ひとつ着かない代わりに光源代りと幾つものコンピューターが光を浴びせるいかにも目の悪くなりそうな部屋

画面は監視カメラの映像が映っているのか別の道を通った磯貝たちの姿や殺せんせーと天宮の姿が捉えられている

「なんじゃこりゃ……SFってレベルじゃねーぞ」

「感心してる場合じゃないって!」

磯貝たちの状況は最悪で既に壁際まで追い詰められ逃げ場がない。寺坂と吉田が化物を牽制しているがあれではもたない。
対して殺せんせーは既に触手を半分近く奪われ再生能力が追いついていないからか防戦一方だ

「おい!どうにか助けられねえのかよ!!」

「お、落ち着きなよ村松くん」

どちらも全く宜しくない展開に焦りが募りとうとう名前も知らないガキに怒鳴っていた
宥める不破だって普段に増して声が上ずって言えたことではない

指図されたガキはというと一度画面に向き合ってからキーボードに触れる。聞こえてないのかと側に寄ると横をすり抜け中村の前へ

「あんたがこの中で一番外国語を読み解けるだろ」

「え?まあ、そうだけど…」

「あのコンピューターの言語をあんた達に解読できるようレベルを下げた。あれを使いこなしな」

それだけ言って早足に来た道へと戻ろうとするので慌てて片岡が肩を掴む
けれどそいつは鬱陶しそうに払い除けると一度だけ振り返った

「オレは追ってきてるあいつらを此処に流れこまねえようにしないといけねえ」

「それなら俺たちも…」

「言っとくが見た目はああでもあいつらは人間だった俺たちの…Aの家族だぞ」

それでも殺す覚悟があるのか。簡単に吐かれた殺す、その言葉は簡単に聞こえて実は重く告げられていた

こいつには殺す覚悟がある。俺たちに罪の意識を与えないように事前に決めていたのだろう
誰もが黙りこんだ中、男は不適な笑みを浮かべ周囲を見渡した

「……生かすか殺すか。選べるのはひとつなんだ。あんたらも後悔がない選択をしな」

背中から二本の触手を生やすと迷いなく駆け出した背中。あいつがいた場所には白い、(確か天宮が教えてくれた)花であるドクニンジンが