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彼女の時間・三時間目 ページ31

「ほんとだ……」

ひなたに倣い拳を握り軽く甲で叩くとそれは確かに硝子と似た感触で音を鳴らす
こっちは外れだったのかとすぐにトランシーバーへと手を伸ばす

別働隊の磯貝くんたちの行ったルートが正しいのだろう。声を発する、より前に狭間さんが待ってと声をあげる

「この鏡……いや、鏡じゃないわね」

「どういうことだよ狭間」

村松を無視するように狭間さんは何処からか一枚の破られた紙を取り出した
ノートの紙片か線が幾重も引かれている

「それは?」

「学園祭の劇の台本で使ったノートの紙片。私が気づかない内に天宮が書いていたのよ」

A road in the mirror.
正午の電話はエルニカへ。
何処を?共通点は鵺←2
きぎむほきけ↑櫂

四行のみの内容は纏まりもなく、不可解な文字列を綴る
暗号なのは違いない、けれど文頭の英文以外は解読不能だ

「ううん……私はこういうの苦手だな」

「メグはこういう暗号もの苦手っぽいよね」

中村さんの発言は確かで苦笑いを浮かべるしかない。この中でピンときているのはその中村さんとカルマ、狭間さんくらい

他の皆が首を傾げるなか、狭間さんは迷うことなく鏡に触れすらすらと指を滑らせていく

「正午の電話は直訳してnoonphone。エルニカへ、はLに変え。って意味でしょ?」

「そんで鵺←2は右から2つって意味でN」

「ええ、そのとおり」

カルマと中村さんの説明を聞きながら狭間さんの指から綴られたのはloophole。
つまり、抜け道

「↑は文字を繰り上げる意味。その隣の櫂はオールとも読める、それをアルファベットのallに直せば…」

「かがみへかく…鏡へ書くか!」

きひひと狭間さんが笑った瞬間、鏡が音をたててずれていく

A road in the mirror.
確かに鏡の中には道が続いていた


警戒しながら慎重に中へ足を進めて不気味さに身震いする
道を挟むように位置する部屋は子供部屋のようなファンシーさを称えていた

静寂とは似ても似合つかない感覚だと唾を飲み込んだ

「やあ」

背筋が凍るという言葉は今のようなことを言うのだろう。
突然気配もなく呼び掛けられた声に全員がはっとして声の主へ視線を投げる

ボロボロな服を身に纏い片手を上げる少年がにっこり、Aに似た笑顔で私たちを迎えていた

彼女の時間・三時間目→←彼女の時間・三時間目



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なな - めっちゃすきです!(;ᴗ;)更新まってます!! (2022年8月19日 16時) (レス) @page42 id: 3ea5956e3b (このIDを非表示/違反報告)
2k?(プロフ) - 大好きです!!!!! (2022年8月9日 23時) (レス) @page42 id: 086cbb7ccc (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの駄作者(プロフ) - めちゃくちゃ好きです。続き楽しみにしています (2021年5月3日 8時) (レス) id: a3e16989e8 (このIDを非表示/違反報告)
mrsk11(プロフ) - 面白いです!更新楽しみにしてます! (2020年5月1日 14時) (レス) id: 7abb019b27 (このIDを非表示/違反報告)
琉渚 - 更新楽しみにしてました!!ありがとうございます!! (2020年4月8日 1時) (レス) id: 98b9c9a2d1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蜜柑 | 作成日時:2019年4月10日 16時

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