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彼女の時間・三時間目 ページ29

3本の触手を奪われ先生の動きは格段に鈍くなっていく。このままでは殺せんせーが殺されるのは時間の問題だって誰もが理解していた

「くそ…っ、見てることしかできねーのかよ結局」

「唯一入れる出入口は施錠されてる。無理に破壊しようとすれば壊れる仕組みだ」

「そんな……どうしたら」

茅野が殺せんせーを暗殺しようと計画を実行した時も僕たちは見ていることしかできなかった。僕たちは、今も変わらず無力感に苛まれ続けている

それはまるで今までの全てが無意味だったようにも思えて、拳を握る
殺せんせーが天宮さんに殺される。喜ぶべきなのに、僕の頭は、

「皆さん、ここから退避してください」

凛とした響きをもって聞こえた声は背後からだった

振り返った先では片岡さんの携帯から律が厳しい顔つきで画面を覗いていた

「退避って…二人を置いて逃げろって言うのかよ!?」

「はい。その通りです木村さん」

「でも……」

「はっきり申し上げますが…今の皆さんはこの場に留まっていたところで物事を改変させられるとは私には思えません」

律の言い分は尤もだ。その証拠に皆が一様に悔しそうに眉を寄せ目を逸らした

図星だ。分かっていたことを指摘されて言葉に詰まっていると殺せんせーたちがいる部屋からけたましい叫び声が聞こえてきた

奇声をあげるのはB級映画にでも出てきそうな溶けた人形らしきもの
それらは全て触手が生えており殺せんせーを拘束するよう絡みついている

ひきつった声がクラスメイトたちから聞こえた気がした

「これは…」

『私の家族だよ。私が殺していない、大事な家族』

途端、先生が横へ飛ぶと先生のいた場所から大量の水が流れ落ちてくる
水はガラス越しに徐々に貯まっていき先生と天宮さんの足元を濡らす

「まさか天宮さん、これが…」

『この部屋一面には対先生用塗料が塗ってある。何処にくっつこうが先生は溶けちゃうよ』

にこり、平然と笑う彼女に背筋がぞっとした。だってそれはつまり

「先生と溺死するつもりかよ…!!」

天宮さんが部屋にいる限り強行手段を使って先生は逃げられない。生徒を守るために、逃げられない

「そんなことさせるか…っ」

「水を塞き止められる機械が外にあるかもしれない、探しに行くぞ!」

誰もがじっとできなかった。僕たちは互いに顔を見合わせて駆け出した中、殺せんせーはそんな様子を見て笑っていたような気がした

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なな - めっちゃすきです!(;ᴗ;)更新まってます!! (2022年8月19日 16時) (レス) @page42 id: 3ea5956e3b (このIDを非表示/違反報告)
2k?(プロフ) - 大好きです!!!!! (2022年8月9日 23時) (レス) @page42 id: 086cbb7ccc (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの駄作者(プロフ) - めちゃくちゃ好きです。続き楽しみにしています (2021年5月3日 8時) (レス) id: a3e16989e8 (このIDを非表示/違反報告)
mrsk11(プロフ) - 面白いです!更新楽しみにしてます! (2020年5月1日 14時) (レス) id: 7abb019b27 (このIDを非表示/違反報告)
琉渚 - 更新楽しみにしてました!!ありがとうございます!! (2020年4月8日 1時) (レス) id: 98b9c9a2d1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蜜柑 | 作成日時:2019年4月10日 16時

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