嘘つきの私と最後の一年六時間目 (ページ23)

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彼女の時間・二時間目ページ23

「相手は先生を狙っています。しかし、皆さんに危険が及ばないとも一概に言えません
現に天宮さんが人質として囚われています」

「確かに俺たちが行ったところで足手まといにしかならないけど……」

「でも、Aちゃんは大事なクラスメイトだもん!見捨てるなんて出来ないよ」

クラスの意見を尊重したいのだろうけど殺せんせーはうんうんと唸って中々承諾してくれない

それくらい事が事なんだ。殺せんせーが悩む程には

「君たちの言い分も分かりますが…大切な友人が自分のせいで怪我でも負ってしまえば天宮さんは自分を責めるでしょう。それは酷く」

それでも自分達のエゴを貫き通しますか。殺せんせーの言葉は重くて、でも僕たちだって引かない

全員が頷いたのを見て殺せんせーが漸く満足げに笑った

●●●

まずは相手の拠点や情報を突き止めること、バラバラになって皆が動き始める

僕はと言うとカルマ君に杉野と一緒にある場所まで連れて行かれた

「なあカルマ……此処って」

「天宮さんの家、だよね?」

「そ。殺せんせーが知らない、ね」

表札に記された名字を見上げつつカルマくんの言葉に杉野と二人して首を傾げる

殺せんせーが天宮さんの家に彼女の安否を確認したと言っていたが、此処がそうじゃないのだろうか
そんな疑問に答えるようにドアノブに触れたカルマ君が顔だけを振り向く

「どういうことかAちゃんの家って一つじゃないんだよ」

「はあ!?どういうことだよ……」

「さあ?ま、詳しい事は中で分かるんじゃない」

ドアには無用心に鍵がかかっていない。カルマ君がゆっくりと扉を開くと何一つ置かれていない玄関が出迎える

明らかに不法侵入の類いだけど、そうも言っていられない
お邪魔しますと小声で言い中に入った

リビングへと足を踏み入れれば見事なまでに何も置いていない
テレビも、テーブルも椅子も、本当に何もかも

「殺風景…ってレベルじゃないだろ」

「ミニマリスト、にしては生活感がないしね」

「あんまり物色するのは止めた方が……」

手身近な冷蔵庫を開封したカルマ君を止めつつ自分もこの白い何一つない部屋を見渡す

人が住んでいるのかと疑いたくなる

「なあ、二人とも」

ふと押入れを開けた杉野が手招く
何かに気づいたのかと二人で押入れを覗き込むと木の床に鍵のかかった扉を見つけた