嘘つきの私と最後の一年六時間目 (ページ18)

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さようならの時間ページ18

冬休みに入ると暗殺計画を立てる為にやりとりをしていたメッセージアプリの通知もほとんど聞こえなくなり、静かな休みが続く

『うーん……?ここらへんかなあ』

スマホを片手に住宅街を歩き目当ての場所を探す
表札を確認して、これでもない、あれでもないと家を巡る

暫くして見つかった目的の名字が記された表札に一度周囲の様子を確認してから屋根に飛び乗る

音もなく屋根に登り探し人のいる部屋の窓をコンコンと叩く
音に気づいた彼が驚いた顔ですぐに窓を開けてくれた

「何でいんの……」

『やあカルマくん。暇してるのかと思って』

呆れたような反応が返ってくるかと思ったらそうでもなく、彼はただ目を合わせる

「…そ、丁度良かった。俺もAちゃんと話がしたかったんだよね」

上がればと窓枠から離れる彼の腕を掴んでから首を振る
元々長居をするつもりはないと言えばあっさり戻る

殺せんせーの過去を知ってから彼も思う所はあるのだろう。今日は気持ち静かだ

『……きっと皆悩んでるんだろうね。自分たちがどうするべきなのか』

これからの暗殺教室の在り方に、先生との接し方。色々
仕方ない、だってそう簡単に割り切れる話でもない

「その口振からだと、Aちゃんは悩んでないって解釈で良いの?」

『んー……そこは任せるよ。君が感じたものが真実なんだし』

「そういう所あるよねほんと」

はあと吐かれた息が白くなって空気に溶け込み消えていく

暖房の生暖かい空気に勿体ないかなあと思うが部屋には入らない。これはある意味けじめでもあるから

『…皆で殺せんせーを殺すのってもう難しいかな?』

「今のままじゃ、無理」

分かっていた事だけど、言葉にされると少し悲しくもなる
そっか。そうだよねえ

「殆どの奴らは頭の整理もついてないだろうし、何よりあのタコを殺すって事に向き合えてない」

『それは君もだね』

当てられたことが嫌だったのか怪訝な顔の彼に笑みを浮かべる
カルマくんの言う通り、皆で殺せる状況じゃないなんて分かりきった話だった

仕方ない、ね