太陽の光 ページ6
雪村鋼道の名を口にすると、土方の顔色は一気に変わってしまう。
珍しく、どこか狼狽している様だ。
土方は暫し考える様に間を置き、そしてAの肩に手を置いて己の口を彼の耳元に更に近づけた。
土方「羅刹の事は？」
貴女「・・・。」
彼は土方から距離を取り、千鶴に向き直った。
キョトンと大きな瞳で彼を見上げている彼女にフッと微笑みかけ、細い手で彼女の髪を掬った。
驚いた様に顔を赤くする千鶴に、Aは更に笑みを深くした。
貴女「千鶴ちゃん、悪いんだけどもう一枚手拭い持ってきてくれるかな？」
彼はぬれた身体に腕を回し、大袈裟に震えて見せた。
その様子を見て千鶴はハッと我に返る。
千鶴「わかりました！」
パタパタと可愛らしい足音を立てながら千鶴は駆けていった。
不思議とその光景が少し前の平穏な日常を思い出させてくれる。
何故か酷く遠い日の様だ。
千鶴がいなくなったのを確認し、彼はもう一度土方に向き直った。
貴女「ねぇトシさん、羅刹って昼間は動けないんだよね？」
唐突な問いに土方は面食らたかの如く、何度か瞬きを繰り返した。
『何を言い出すのだ』とでも言いたげな表情である。
そして、当然の様に土方は首を縦に振った。
土方「あぁ、羅刹は昼間にゃ動けねぇ。
太陽の光が眩しすぎるんだ。」
貴女「そう・・・、だよね。」
土方「どうかしたのか？」
彼の様子に疑問を持ったのか、土方は覗き込む様にしてAの顔を見た。
直後、いつもは鍵がかかっている土方の心が雨で強化された千里眼に写り込む。
『何かあったのかも知れねぇ。
ふさぎ込まなきゃいいんだが・・』
暖かく、まるで本物の兄の様な想いが千里眼越しに伝わって来た。
水面に落ちた水滴が波紋を広げる様に、彼の心の中に響いてゆく。
それに後押しされるように彼は口を開いた。
貴女「太陽の下を歩く羅刹を千里眼で視たの。」
その光景を思い出すとゾッとしてくる。
鳥肌が立つ肌をさすりながら、
貴女「悪い予感がする。
トシさん、くれぐれも気を付けて。」
土方は一度瞳を閉じ、深く瞑想した。
そして再び瞳を開けると、逞しい掌でAの頭を乱暴に撫でる。
土方「あぁ、気を付ける。
お前も気を付けろよ。」
と、強く囁いた。
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岬鬼(プロフ) - iwaさん＞お久しぶりです！戻って参りました。 少しずつですが、完結できるよう更新していきます。安定しない活動になるかもしれませんが、これからもよろしくお願いします！ (2020年10月23日 19時) (
レス) id: 2999d52a99 (このIDを非表示/違反報告)
iwa(プロフ) - お帰りなさい。これからも無理しないでくださいね。 (2020年10月21日 21時) (レス) id: d46b647962 (このIDを非表示/違反報告)
岬鬼(プロフ) - kirinさん» kirinさん＞はじめまして！閲覧、コメントありがとうございます！以前から読んでいただけていたなんて、とても嬉しいです！これからも長く更新できない時期があったり、安定しない活動になるかもしれませんが、完結まで頑張って参ります！よろしくお願いします！ (2020年8月11日 16時) (レス) id: 2999d52a99 (このIDを非表示/違反報告)
kirin(プロフ) - はじめまして、初コメ失礼します。以前から読ませて頂いていまして、何度も読み返していたので更新再開されたとのことでとても嬉しいです！陰ながら応援しております！ (2020年8月11日 4時) (レス) id: dce83ecbd9 (このIDを非表示/違反報告)
岬鬼(プロフ) - iwaさん» iwaさん>ありがとうございます！なかなか安定した更新は難しいですが、努力していきます！気長にのんびり待っていてくださると嬉しいです！今後ともよろしくお願いします！ (2020年7月8日 23時) (レス) id: 17ab3ad94f (このIDを非表示/違反報告)
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