脱走 NEW ページ39
叶「さすがだね。」
一人で敵を倒したAに叶は称賛を送る。
牢の前まで来て、そこで初めてAは肉眼で叶を見たのだった。
初めて見た叶は思ったよりも若い印象を受けた。
肩を隠す程の長さの髪は灰色で、同じく瞳も灰色がかった目をしている。
だが驚いた事に、顔の右半分から首元にかけて酷い火傷があった。
貴女「今助けるから。」
肉眼で見た叶は千里眼で見るよりも酷い有様だった。
医療用ベッドに拘束された小さな体は痩せて僅かに骨が浮いて見え、か細い呼吸を繰り返している。
これほど衰弱した者に対し、何故これほど厳重な拘束がなされているのか疑問に思うほどだった。
Aは綱道から奪った鍵で牢の錠を開けると、足を引きずりながら叶に近づいた。
叶のギラリとした瞳が彼を捉え、
叶「これ、外して・・」
と、手足、腰回りを拘束するベルトを示した。
言われた通り拘束具を取り外し、手を添えながら叶を起き上がらせた。
貴女「立てそう？」
叶はベッドから床へ足を伸ばした。
Aの手を掴みながら少しずつ足に体重をかけていく。
叶「っ・・！」
足首に激痛が走った。
一拍遅れ、太腿、脹脛へ電流のような痛みが走ると、叶はAの手を強く掴みその痛みの耐える。
叶「・・大丈夫。」
しばらくして叶はそう告げる。
自重に慣れてきた足は、少しずつ痛みが引いていった。
ヨロヨロと歩き始めた叶に肩を貸しながら、同じく左足を引きずったAと牢からでた。
ふと、Aのいた牢に転がっている綱道を叶は横目で見、
叶「なぜ殺していないの・・」
と、憎悪に満ちた瞳で綱道を見下ろした。
羽交締めにし、気絶させただけだ。
いずれ意識を取り戻し、追いかけてくることは明白。
だがAは綱道にトドメをさせなかった。
貴女「悲しむ人がいる。」
千鶴の存在が脳裏に浮かんだ。
貴女「早くここを出よう。」
すぐに話を逸らすと、納得していない叶の体を引いた。
渋々と叶も歩き始めると、絶命した羅刹の横を通り抜けて千里眼で道を探りながら進んでゆく。
締め切られ、窓もなかった部屋の扉を開けると冷たく湿った風が吹き抜ける。
扉の先は長い廊下が続いていた。
廊下の左右は襖で締め切られているが、よくある屋敷の造りならば、座敷があるのだろう。
貴女「進もう。」
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岬鬼(プロフ) - iwaさん＞お久しぶりです！戻って参りました。 少しずつですが、完結できるよう更新していきます。安定しない活動になるかもしれませんが、これからもよろしくお願いします！ (2020年10月23日 19時) (
レス) id: 2999d52a99 (このIDを非表示/違反報告)
iwa(プロフ) - お帰りなさい。これからも無理しないでくださいね。 (2020年10月21日 21時) (レス) id: d46b647962 (このIDを非表示/違反報告)
岬鬼(プロフ) - kirinさん» kirinさん＞はじめまして！閲覧、コメントありがとうございます！以前から読んでいただけていたなんて、とても嬉しいです！これからも長く更新できない時期があったり、安定しない活動になるかもしれませんが、完結まで頑張って参ります！よろしくお願いします！ (2020年8月11日 16時) (レス) id: 2999d52a99 (このIDを非表示/違反報告)
kirin(プロフ) - はじめまして、初コメ失礼します。以前から読ませて頂いていまして、何度も読み返していたので更新再開されたとのことでとても嬉しいです！陰ながら応援しております！ (2020年8月11日 4時) (レス) id: dce83ecbd9 (このIDを非表示/違反報告)
岬鬼(プロフ) - iwaさん» iwaさん>ありがとうございます！なかなか安定した更新は難しいですが、努力していきます！気長にのんびり待っていてくださると嬉しいです！今後ともよろしくお願いします！ (2020年7月8日 23時) (レス) id: 17ab3ad94f (このIDを非表示/違反報告)
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