深く赤く ページ16
土方「山崎・・」
土方がかろうじて絞り出した声の先にいる主はあまりの激痛に喉を詰まらせる。
だが、その眼はハッキリと土方を見つめていた。
激越を隠しきれない霞んだ弱々しい声で。
山崎「何して・・ぃるんですか・・、副長っ！
あなたは頭で俺達は手足のはずでしょう？
我を忘れて飛び込んで・・、どうするんですかっ！」
土方の目に熱が戻った。
怒りから始まった快楽はいつしか熱を孕む悲しさを宿し、赤い瞳をいつもの深紫に染めてゆく。
だが、その深紫は酷く震えている。
山崎「手足ならなくなっても代えが利きますが、頭がなくなってはお終いです！
局長と副長は二人で・・一人、なのです・・か、ら・・」
膝立ちだった山崎はとうとう力尽きた様に崩れ落ちた。
地面に伏せた彼の身体は動かない。
息もしていないようだった。
地面の土を深く赤く染めながら山崎は苦し気に双眸を閉じる。
土方「山崎・・」
再び土方は彼の名を呼んだ。
千鶴は思わず、山崎に駆け寄ろうと足をだす。
彼女に支えられていたAも、まだ覚束ない足取りで千鶴に続いた。
千鶴「しっかりしてください山崎さん！
山崎さんっ！！」
貴女「山崎君・・！」
Aと千鶴が山崎に駆け寄るのを遠くを見る様に土方は眺めた。
哀愁に染まったその瞳で・・
天霧はその光景を横目で確認し、今度は風間へ視線を向けた。
天霧「風間、薩長は自らの手による倒幕を望んでいます。
我々が手を下すべきではありません。」
風間「・・・。」
風間も天霧に倣い、その光景に目を向けた。
そして眉を寄せながら土方を見る。
風間「命拾いしたな。
土方とやら、この決着は必ずつけるぞ。」
納刀し背を向けた風間の姿は元の人によく似た姿に戻っている。
天霧はAへ一度視線を合わせる。
貴女「・・・っ。」
予期していたかの様に彼は天霧に目を合わせて、小さく頷いた。
天霧は深く礼を返し、そして二人は姿を消した。
一陣の風が戦場に吹きわたり、そして終わりを告げるかの如く静まり返る。
最後に残ったのは血塗られた光景と悲壮だけだ。
ふと、遠くから聞き慣れた声が聞こえた。
耳朶をくすぐる声の方角へ目を向け、Aはその声の主を千里眼で確認すると小さく胸を撫でおろした。
貴女「トシさん。」
放心状態の土方を現に戻し、目を合わせた。
貴女「彼らが捜してる。」
土方「・・あぁ。」
低く呻る様な声で返事を返すと、土方は納刀した。
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岬鬼(プロフ) - iwaさん＞お久しぶりです！戻って参りました。 少しずつですが、完結できるよう更新していきます。安定しない活動になるかもしれませんが、これからもよろしくお願いします！ (2020年10月23日 19時) (
レス) id: 2999d52a99 (このIDを非表示/違反報告)
iwa(プロフ) - お帰りなさい。これからも無理しないでくださいね。 (2020年10月21日 21時) (レス) id: d46b647962 (このIDを非表示/違反報告)
岬鬼(プロフ) - kirinさん» kirinさん＞はじめまして！閲覧、コメントありがとうございます！以前から読んでいただけていたなんて、とても嬉しいです！これからも長く更新できない時期があったり、安定しない活動になるかもしれませんが、完結まで頑張って参ります！よろしくお願いします！ (2020年8月11日 16時) (レス) id: 2999d52a99 (このIDを非表示/違反報告)
kirin(プロフ) - はじめまして、初コメ失礼します。以前から読ませて頂いていまして、何度も読み返していたので更新再開されたとのことでとても嬉しいです！陰ながら応援しております！ (2020年8月11日 4時) (レス) id: dce83ecbd9 (このIDを非表示/違反報告)
岬鬼(プロフ) - iwaさん» iwaさん>ありがとうございます！なかなか安定した更新は難しいですが、努力していきます！気長にのんびり待っていてくださると嬉しいです！今後ともよろしくお願いします！ (2020年7月8日 23時) (レス) id: 17ab3ad94f (このIDを非表示/違反報告)
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