約束と贈り物 ページ13
「「A、お誕生日おめでとう」」
『ありがとう!!』
今日は六歳の誕生日だ。
父と母は、笑顔で祝ってくれた
「おめっとさん」
勿論、耀も。
「約束通り私からの贈り物は、篠笛だよ」
「私からはその他篠笛の道具一式あげるわ」
『わ、ありがとう！…やっぱり、綺麗』
贈り物はあの日、父が使っていた篠笛だった
質素な作りだけれど、決して地味じゃない。
朱色で模様が細かく描かれていた
『お母さんのくれた布も、綺麗！』
つば抜き用の白い布が一枚
そして藤色の手拭いらしき物が三枚ほどある。
「それね、藤の花で頑張って染めてみたのよ!」
『へー…ありがとうお母さん！』
他にも笛の入れ物や手入れの道具が沢山。
一年、頑張った甲斐があった…
『お父さん、早速笛の吹き方教えて！』
「いいよ、やってみようか」
そこから夕方まで、今日はずっとし笛の練習をしていた。
夕餉の後。
片付けを手伝って、父の部屋へ向かう途中のこと。
「A」
後ろから、耀に呼ばれた。
『如何したの？』
振り返ると、無言で近づいてくる。
『?』
ｷﾞｭｯ
やがて私の前で止まり、抱きついてきた。
「…」
『ホントに如何した』
首元でごそごそやっていて、正直くすぐったい
『あの〜、耀さーん？』
「出来た」
満足げに顔をあげ、離れる。
『一体何して…』
首に触れると、紐がぶら下がっており、その先には袋状の布が着いていた。
見た目も可愛い。少しほつれてるけど…
というか、
『なんか良い匂いする…』
「藤の香りの匂い袋だ。壊したら切腹な」
『は、重っ!?というかこれ既に解れてるのは何故。』
「えっ…仕方ないだろ、難しいんだから」
『え。もしかしてこれ、…耀の手作り!?』
「悪かったな」
『マジか！大切にするわ!!』
「…お、おう?」
耀って結構不器用なのに!!不器用なのに!!←
(大事な事だから二回。)
『にしても、何で匂い袋？』
「…お前危なっかしいからな。」
『意味分かんね』
「そーかい」
取り敢えず耀にしては、良い物を貰ったので目の前でめっちゃはしゃいでる。
あ、お父さん達に見せてこよう
笛も教わらなきゃだし。
『お父さんたちんとこ行ってくる〜』
「おー」
Aが去った後、一人耀は呟いた。
「……護るって約束したからな」
今日もまた、日は沈む。
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作者名：闇月 x他1人 | 作成日時：2019年10月22日 3時
