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「あの、リドル先輩！フロイド先輩！」
「監督生！」
「あ、小エビちゃんじゃ〜ん」
まさか相手の方から話しかけてくるとは思ってもいなかったリドルは少し目を丸くしたが、二人はそれに気付かず会話を続ける。
「あれ、アザラシちゃんは？」
「グリムは今日サバナクローです。ケモ耳同士仲良くやってるんじゃないですか？」
「小エビちゃんそれ本気で言ってる？」
でもまぁ、計三人ものオーバーブロットに立ち会ってるもんな、この子。こんぐらい精神強くないとやってけないのかも。その三人のうち一人は自分の幼馴染みだけど。
と、フロイドは勝手に一人で納得していた。
フロイドは割と勘のいいガキであった。
NRCに集うのは闇の鏡に選ばれた優秀な者達のみ。
そんな『優秀な者達』を従えるんだから、どっか他よりあくどい面とかあるのかなー、とは何となく思っていた。
「グリムってばお弁当渡す前に行っちゃったんですよね。グリムの分のお弁当、自分で食べるには多すぎるし……よかったら食べませんか？」
「い、いいのかい！？」
「あはっ、金魚ちゃんてばめっちゃ喜んでんじゃーん。小エビちゃん、それ俺も食べていいよね？」
「はい！勿論です！」
フロイドは真っ赤になって反論するリドルを揶揄いながら、わしわしと監督生の頭を撫でる。
それを偶然見ていたラギーは「明日は槍が降るぞーッ！！」と叫んで廊下を全力疾走していった。
その数秒後、それを見たらしきルークの「トレビアン！！！」という声も聞こえた。
それは兎も角、フロイドとリドルは『NRC怒らせてはいけない生徒ランキング』では常に上位十位以内に入るタイプの先輩方である。(ちなみに一位はトレイパイセンである。)
そんな二人に常にビクビクしてる後輩達の中に、手作り弁当を渡すような命知らずなんて勿論いないわけで。
二人は初めての『後輩からの手作り弁当』にかなりテンションが上がっていた。
二人は監督生に渡された弁当箱をキラキラした笑顔で受け取り、開けた。開けてしまったのだ。
「わぁ！」
「は？」
その瞬間中庭に響いたのは、宝物を目前にした子どものような感嘆の声と、地の底から這い上がって来たかのような低音。
そんなテンションに雲泥の差のある二人の視線の先にはお弁当という名のダークマター。
他の底から這い上がって来たような低音を出した男───フロイドは思わず叫んだ。
「小エビちゃん俺なんかした！！？？」
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