監督生「リリア先輩の手料理、美味しいです！」 (ページ7)

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「え、うん。美味しいって思ったよ？」

「美味しいんかいッ！！」

どっかの高尚な精神を持つ副寮長の如きツッコミを披露したグリムは、ズサーッと床に倒れ込む。

「グリムはそう思わなかったの？」

「思ったゾ！けど、あのカレーとトレイの作ったタルトは、なんていうか、その……かなり味が違ったんだゾ？」

「そりゃカレーとタルトなんだから当たり前でしょ」

違う、そうじゃない。

グリムはなんだかトロールに傘とティーポットと違いを説明でもしているような気持ちになった。
それほどグリム(一般人)と監督生(モンスター)の味覚には壁があったのだ。

頭を抱えるグリムに対し、何となく彼の言いたいことを察した監督生(ただし自分がメシマズだとは微塵も気付いてない)。
監督生は何故か察しが変なところで良く、変なところで悪かった。

「えっとさ、トレイ先輩のお菓子もすっごく美味しかったよ！本当に！けど、僕の作ったカレーは懐かしい味がするというか……って、これ、自画自賛してるみたいで恥ずかしいね」

「な、懐かしい！？」

「うん。おじいちゃんがよく食べさせてくれた料理の味に似ていて、懐かしい」

ジジイ何者だよ。

えぇ……もしかして監督生の国ではあんな味のモノを好んで食べるのか？え、それどこの地獄？

グリムの中で『監督生の出身地修羅の国説』が浮上した瞬間だった。
あながち間違いではないのが恐ろしいところである。