監督生「リリア先輩の手料理、美味しいです！」 (ページ2)

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好奇心は猫を殺すページ2

最初に監督生の狂気を目の当たりにしたのは、監督生とニコイチで生徒のグリムである。

監督生を振り回してばかりのお調子者モンスターとして知られているグリム。彼の我儘は哀しいことにその日も健在だった。

　

「……今なんて？グリム」

「だーかーらー！俺様はオマエの作った料理が食べたいって言ったんだゾ！」

一見カレカノ同士にも見えるこの会話。
もちろんグリムがこの発言をするに至った理由は単純に「監督生の手料理が食べたいから」というわけではない。

「(コイツ、いつも俺様を偉そうに叱ってばかりで腹が立つからな……どうせ料理もあんまり上手くなさそうだし、からかってやるんだゾ！)」

というわけである。

偶然そこを通りかかったケイトはその魂胆に何となく気が付いていたが、面白そうなので知らないふりをしておいた。

まぁ、ケイトに限らず髄まで捻くれまくったNRC生はだいたいその魂胆に気付いていたが、監督生はイレギュラーであった。

一身に愛を受け、甘やかされまくって育った監督生は、純粋に相棒が自分の手料理を食べたがっていることに喜び、購買部に走った。

その会話を聞いていた他の生徒がニヤニヤ嗤っていることにも一切気付かず、走った。

「ハァーイ小鬼ちゃん！今日は何をお探し？いつものツナ缶かな？」

「ツナ缶もだけど……僕、自分で料理を作ろうと思うんです。グリムが僕の手料理を食べたいって！」

察しのいいサムはその言葉と後ろでニヤニヤしてる他の生徒を見てだいたい察した。

サムはヴィランズ側の人間である。
グレートセブンを尊敬しているし、人の心がないんじゃないかと思われるような商品もわりと扱っている。

しかし、まだまだガキンチョの生徒たちほど見境がないわけではなく、サイコパスというわけでもないので、目の前で目をキラキラさせているこの子供が嗤われるのは少し心が痛んだ。

だから奥の棚にしまっていた、比較的調理が簡単で魔法不要のカレールーを取り出し、監督生に渡す。

「……じゃあこのカレーはいかがかな？どの家庭でもよく使われる、簡単だけど割と本格的なカレーさ。小鬼ちゃんは食べたことないんじゃないかな」

「バ、バーモントカレー的な……？」

「バー、何？なんて？？」

「あ、いや、こっちの話です！ありがとうございます！」

サムの厚意で少しまけてもらったカレールーと具材を抱えて走る監督生を見て、グリムは嗤う。
これからどんな悪夢が待っているかも知らずに。